米大リーグ・ヤンキースのイチロー外野手(40)の研究で知られるスポーツ心理学者・児玉光雄氏(66=追手門学院大学客員教授)が、絶体絶命のザックジャパンに緊急アドバイスを送った。

 サッカーW杯では1998年のフランス大会以降、初戦黒星のチームが1次リーグを突破できた確率はわずか8・7%。絶望的な数字が突きつけられている。それでも児玉氏は「確率論では確かにそうだけど、進出できなくなったわけではない」とし、次戦のギリシャ戦(日本時間20日)を前に“勝利度外視”のススメを説いた。

「選手たちはメディアの取材に『勝ちたい』とか発しないほうがいい。勝ち負けは(不確定なアクシデントもあるから)コントロールできないし、終わってみないと分からない。『勝ちたい』というよりも、勝つためのプレーをやることが大事。ザッケローニ監督から指示された役割、やるべき仕事、今で言えば目の前の準備に各選手が全力を尽くすだけです」

 さらに同氏は「もちろん勝つためにやっていることは十分に分かっている」とした上で「『勝たなきゃ』とか必要以上に雑念が入るとベストパフォーマンスができない。開き直って攻撃陣は“1点でも多く取る”、守備陣は“1点たりとも許さない”と集中するだけ」と続けた。

 不発に終わったFW香川真司(25)は、完敗したコートジボワール戦翌日の取材で「次の試合は勝つ」と意気込んだが、児玉氏の持論ではNG。香川は「まずは自分たちのサッカーをもう一回信じてやる」とも語っており、この考えが大事というわけ。もう後戻りはできない。自分たちのサッカーをするのみだ。