【なでしこリーグ歴代最多182点 大野忍 ひとりごと】東スポWeb読者の皆さま、明けましておめでとうございます。昨年、こちらで評論活動を始め、多くのことを勉強させていただきました。今年も私なりの視点で、思ったことをどんどん言わせてもらいます。でも、あくまで「ひとりごと」なので、そのへんはご容赦ください。

 本来なら、昨年は評論家として、そしてなでしこジャパンOGとして、東京五輪に臨むなでしこジャパンを見ていくつもりでした。しかし、想像もしていなかった新型コロナウイルスの流行で生活そのものが一変し、五輪自体が延期。まだ発展途上のなでしこにとっては「強化できる時間を1年ももらった」と捉えることもできますが、それはどの国も同じです。年明けからの7か月間が本当の勝負どころでしょう。

 なでしこジャパンは今年、チーム強化に向けて大胆な策を取ります。今年秋に新たなプロリーグ「WEリーグ」がスタートするため、国内のリーグ戦は五輪まで行われません。それを利用して、今月から毎月代表合宿を行い、チーム強化を図ります。

 戦術理解や熟成といった部分で、選手たちが多くの時間を一緒に過ごすことは必要です。伸び悩んでいる今の状況を変えるためにはプラスに働くでしょう。ですが、それは現時点で代表メンバーの大枠ができていてこその話。もし、まだメンバー選考に迷いがあって、これから選手の入れ替えを考えている中でこの合宿を利用するというなら、それは選手の感情面でマイナスにしかなりません。高倉麻子監督がどんな方法で徹底強化を図っていくのか、楽しみですね。

 それとは別に、ちょっと気になったことがありました。このオフに海外移籍を決めた選手が結構いましたよね。INAC神戸の岩渕真奈選手だったり、C大阪堺の宝田沙織選手や林穂之香選手だったり。C大阪堺はWEリーグに参加しません。プロとしての活動を望むならチームを離れるしかないわけで、その観点からいくと少し寂しいですね。

 もちろん彼女たちの挑戦は応援しますよ。でもそこから代表入りを目指すのは、今に限ってはかなり厳しい道のりです。代表チームの国内合宿に参加するのは、このコロナ禍の状況では難しいでしょう。そうなると、自分のクラブでのプレーだけでアピールするしかないのですが、高倉監督が直接視察できるような環境でないのが現状です。

 そういう意味でも、代表メンバー選考において「海外クラブ所属だから」という理由だけで招集するのはやめてほしい。国内で頑張っている選手はたくさんいるので、選考基準を明確にするべきです。それがあいまいだと、長期の合宿は逆効果になります。せっかくなでしこジャパンがレベルアップできるチャンスなのですから、1分1秒たりとも無駄な時間は過ごしてほしくありません。