佐藤寿人が明かす広島時代の恩師・森保監督の「指導者像」

2020年10月13日 11時00分

13年にリーグ連覇を果たした広島時代の佐藤(右)と森保監督

 オランダ遠征中の日本代表は、来年3月に再開する2022年カタールW杯アジア2次予選や来夏の東京五輪へ向けて貴重な活動を行っている。13日には国際親善試合コートジボワール戦(ユトレヒト)に臨む中で、元日本代表FW佐藤寿人(38=千葉)が本紙直撃に応じ、J1広島時代に指導を受けた日本代表の森保一監督(52)について語った。関係が深いからこそわかる代表指揮官の“指導者像”とは――。

 ――森保監督とは深く関わってきた

 佐藤 僕が4年目(2003年)で仙台に行ったとき、森保さんは現役最後の年で当時キャプテン。先頭で戦う姿を見せてくれたり、いろいろなことを学ばせてもらった。ちょうど僕が結婚するタイミングで奥さんも誘ってもらって森保さんの家で食事をさせてもらったのは良い思い出。

 ――広島では選手と指導者の関係となった

 佐藤 コーチのときは監督のサポートとか、いろいろな形で働きかけてくれた。実際、僕がレギュラーとして出ている中で不満を抱えてプレーしているとき、それに気づいて声をかけてくれたり、ハッパをかけてくれたこともある。いろいろな人に気を使えるので監督と選手の間にうまく立てる、本当にコーチ適任だなと思っていた。

 ――12年に広島に復帰し、監督に就任した

 佐藤 1年目は「監督・森保一」とは見れなかったけど、勝つ試合が増えていく中で監督らしさが形成されていった感じがする。それでも変わらず選手に寄り添って耳を傾け、コーチのように比較的選手に近い感覚でやってくれた。ただ厳しく言うときは言うし、逆にこんなに気を使わなくてもいいくらいに気を使う。だからこそ誰からも好かれる人なんだなと。

 ――監督としてのすごさはどこに感じていた

 佐藤 勝っても、良かったところ、悪かったところを選手に伝えて「また次だ」と言ってくれるし、逆に負けたときでも「全て悪いわけではなく良かったところは続けよう」などと、結果に一喜一憂しない。日々のトレーニングで忍耐強く積み上げる作業を続けられる強さがある。

 ――森保監督1年目にMVP&得点王を獲得

 佐藤 これは森保さんがうまかった。90分フルに出たい僕に対し「最後の10分、15分を無理せず交代して次の試合にエネルギーを蓄えることも長いシーズンで大事なことだから理解してくれ」と。最後までピッチに立ちたいときもあったけど、ケガなく戦えて得点王、MVP、優勝というのは監督のコントロールがなければなかった。

 ――広島監督時代の印象的な出来事

 佐藤 すごいカミナリが落ちたことがあって2度ともハーフタイムで、どちらも後半に逆転した。初優勝(12年)のアウェーC大阪戦と3回目の優勝(15年)の埼スタ(浦和戦)でどちらも大事な試合。普段怒らない人が怒ると選手に強く伝わる。代表の森保さんは、そういう怒り方をしたことないんだろうなというくらい。正直怖かった。

 ――日本代表の森保監督はどう見てる

 佐藤 限られた活動の中でチームをつくるのはクラブとは違う。難しいだろうなと感じる。それに五輪も兼任だし、ストレスも含めて心配というか、体を壊さなければいいなと思っている。ただ横内さん(昭展コーチ=52)もいるので、うまくいくだろうと見ている。

 ☆さとう・ひさと 1982年3月12日生まれ。埼玉・春日部市出身。2000年に市原(現千葉)の下部組織からトップに昇格した。12年の広島時代にリーグ初制覇し、MVP、得点王など個人4冠を獲得。19年から千葉に所属する。J1通算161点はFW大久保嘉人の185点に次ぐ2位。日本代表31試合4得点。170センチ、65キロ。