日本代表と東京五輪代表を兼任する森保一監督(51)が28日にウェブ上で取材に応じ、欧州組の増加で来夏の東京五輪での招集が困難になることを危惧した。

 東京五輪世代は、これまでの五輪世代と比べて欧州でプレーしている選手が多い。MF久保建英(19=マジョルカ)やMF堂安律(22=PSVアイントホーフェン)を始め、五輪を目指す代表チームに招集された主力級の選手で欧州クラブに所属する選手はすでに10人程度いる。

 さらに今夏も森保ジャパンの立ち上げ時から常連のMF遠藤渓太(22=横浜M)がドイツ1部ウニオン・ベルリンに移籍。本番まで1年を切ってこうした動きは今後ますます加速しそうだが、そうなると苦しいのが森保ジャパンだ。

 東京五輪は国際Aマッチデーではないため、前回大会同様にクラブ側に選手派遣の義務は生じない見通し。欧州クラブは五輪への選手派遣に消極的なため、森保ジャパンが招集の協力を要請する交渉も難航必至だ。

 そうした状況に森保監督は「まずは選手の成長が第一。選手の成長があってこそ五輪でも結果を出せる」と有望株の欧州移籍に理解を示したうえで「東京五輪の招集については海外に移籍する選手が多くなればなるほど難しくなる。招集に関しては、最終的に調整する方々が非常に難しい仕事になるけど、ベストな選手が揃って東京五輪に臨めることを願っている」と悩める胸中を明かした。

 特に東京五輪は新型コロナ禍で、選手の感染リスクが高まる長距離移動を嫌がるクラブも続出しそうで森保ジャパンにとっては死活問題だ。

 招集を拒否するクラブが出てくることも念頭に、対策としてはチームの底上げを図るしかない。「最終的にどういうベストメンバーを組めるか分からないが、それまでに幅を少しでも広げていけるように。何が起こってもチーム力が落ちないように選手層が厚くなっていけばいい」と新戦力の発掘を含めて備えていくつもりだ。