女子サッカー人気復活への“切り札”を失った。日本サッカー協会は臨時理事会で2023年女子W杯招致の立候補取り下げを決定した。国際サッカー連盟(FIFA)理事会(25日)での投票を前に、評価書で共催のオーストラリアとニュージーランドにリードを許して2番手に甘んじていることが判明。さらに田嶋幸三会長(62)は「五輪が21年にある。短い期間に女子の大会を2つやるのかという流れに変わった。それが重大だった」と女子最高峰の大会を“連続開催”することに抵抗が強まったことも撤退の理由に挙げた。

 この決定になでしこジャパンFW岩渕真奈(27=INAC神戸)はSNSで「あと3日ってワクワクしてたのに」とし、同MF長谷川唯(23=日テレ)も「本当にやりたかったという気持ちはある」と残念がった。

 W杯開催は低迷を続ける女子サッカー人気アップの起爆剤として期待が大きかっただけに招致断念は波紋を広げそう。特に来年9月からスタートする女子プロサッカー「WEリーグ」への影響は大きそうだ。

「プロリーグの成功はスポンサーの獲得にかかっている。そういう意味ではW杯の自国開催で盛り上がることが重要で、そこでスターが生まれるかどうかも企業の投資を左右する」と大手広告代理店関係者は指摘。W杯の開催はWEリーグに“カネ”をもたらす原動力となるはずだった。

 田嶋会長は影響について「ゼロとは思わないが、投票で大きく敗れたときの負の影響よりも、ここで撤退した方がプラスになる」とコメントしていたが、協会肝いりの新女子リーグへの大打撃は必至だ。