来夏に延期された東京五輪サッカー男子に臨む森保ジャパンの最終兵器となるか。セルビア1部パルチザンの日本代表FW浅野拓磨(25)がセルビアカップ準々決勝(3日=日本時間4日)のラドニク戦で2ゴールを奪って2―1の勝利の立役者になった。今季公式戦9得点と絶好調の“ジャガー”は東京五輪で激戦のオーバーエージ(OA=24歳以上)争いの有力候補に浮上してきた。

 浅野は先制、決勝ゴールと獅子奮迅の活躍で4強進出に貢献。5月30日にリーグ再開初戦となったムラドスト戦でも1得点を挙げており、公式戦2試合連発と絶好調だ。

 この活躍ぶりで期待が高まるのが、来夏の東京五輪だ。浅野は抜群のスピードを武器に2016年リオデジャネイロ五輪では2ゴールを挙げ、A代表でも17年8月のロシアW杯アジア最終予選オーストラリア戦で6大会連続出場を決める決勝弾を奪うなど大舞台で勝負強さを発揮してきた。

 五輪代表はかねてストライカー不足に悩んでいることもあり、五輪OA候補に浮上するが、浅野にとって強みになるのがA代表と兼任でチームを指揮する森保一監督(51)の存在だ。

 浅野にとって森保監督はプロ生活をスタートさせたJ1広島入団時の指揮官。徹底指導を受けた浅野は、すぐに主力選手へと成長し、15年にはJ1優勝やクラブW杯の3位躍進などに大きく貢献し、強固な師弟関係で共闘してきた。

 森保監督は代表監督就任後も快足ストライカーを高く評価。かねて「浅野とは広島時代から活動をして特長を分かっている。スピードもあるが、起点となるプレーもしてる」とプレースタイルを熟知し、自らの方針や戦術にもマッチする貴重な戦力として全幅の信頼を寄せている。

 東京五輪で金メダルを目指す指揮官にとって、手塩にかけて育てた愛弟子ほど心強い手駒はないだろう。浅野自身もA代表に選出された際、森保監督との師弟コンビついて「求められるものは分かっている」と自信を見せていたように、指揮官との絆は3枠しかないOA争いでも大きなアドバンテージになる。

 ここまでFW陣のOA争いではA代表エースのFW大迫勇也(30=ブレーメン)が有力候補とされていたが、所属クラブで絶不調と、今後のプレーに不安が募る。現在ドイツで絶好調のFW鎌田大地(23=Eフランクフルト)とともに一気にOA争いで台頭してきそうだ。