五輪サッカー年齢制限 日本が「23歳以下」を主張するワケ

2020年04月03日 16時40分

五輪エース候補の久保(ロイター)

 東京五輪サッカー男子の年齢制限を巡る思惑とは――。新型コロナウイルス感染による肺炎の療養を終えて退院した日本サッカー協会の田嶋幸三会長(62)は、1年延期された東京五輪の出場資格となる年齢について「24歳以下」を要請する国が主流の中、日本は通例通りに「23歳以下」の適用を求めることを表明。注目を集める年齢問題は、金メダルを狙う日本にとって重要なポイントとなりそうだ。

 五輪代表はオーバーエージ(OA)枠の3人を除き、原則23歳以下の選手によるチーム編成で、今大会は「1997年1月1日以降に生まれた選手」と規定。ただ前代未聞の延期となったことで、当初の規定に沿って24歳まで出場OKとするのか、通例通り23歳以下の基準を適用するのかが焦点となっている。

 五輪出場権を持つ韓国、オーストラリアは「24歳以下」を要望したと報じられているが、田嶋会長は「FIFA(国際サッカー連盟)などと話す中では、24歳に切り上げていって、そのまま予選を突破したチームが参加することに落ち着くのではと言われている」と1年延期に合わせて出場資格を24歳以下とする意見が優勢と説明した。

 しかし、開催国としては「23歳(以下)が望ましい。これは、欧州でプレーする選手が多い日本にとって1歳上がることによって、よりクラブがリリース(派遣)しづらくなると想定したから」(田嶋会長)と、FIFAにも「23歳以下」を主張したという。年齢が上がると所属先で戦力として重視される選手が多くなり、派遣義務のない五輪への参加が難しくなる懸念があるからだ。

 ただ、日本が他国と異なり「23歳以下」と主張するのには、別の事情もありそうだ。ある選手代理人は「(日本の)東京五輪世代は(最年長の97年世代よりも)下の世代に有力選手が多い。スペインとか強豪国は年長世代の主力が多い」と指摘する。

 若手選手は経験が乏しいため、主に最年長世代がチームの主力を占めることが一般的。例えば優勝候補のスペインも、FWミケル・オヤルサバル(22=レアル・ソシエダード)、MFカルロス・ソレル(23=バレンシア)など97年生まれの主力選手が多い。仮に「23歳以下」が適用されれば、主力選手たちが出場資格を失い、スペインは大幅な戦力減を余儀なくされるわけだ。

 一方で森保ジャパンの主力はMF久保建英(18=マジョルカ)、MF堂安律(21=PSVアイントホーフェン)、DF冨安健洋(21=ボローニャ)ら、今回の年齢問題に左右されない選手が大半で、スタメン級に97年生まれの選手はほぼいない。他国の戦力をそぐ意味でも「24歳以下」ではなく「23歳以下」を主張するのは当然なのだ。

 FIFAや国際オリンピック委員会(IOC)にとっても開催国の意向は無視できないといわれる。金メダルの行方を左右する日本の主張が通るか注目だ。