なでしこに喝! 本紙評論家に就任の大野忍氏が 再建へ大胆プラン

2020年03月25日 11時00分

本紙評論家に就任した大野氏

【なでしこリーグ歴代最182点 大野忍 ひとりごと】サッカー女子のなでしこジャパンは東京五輪を前に絶体絶命のピンチに陥っている。米国で開催された国際親善大会で3連敗。そんな現状に「もう黙っていられない」と声を上げたのが、2011年ドイツW杯優勝メンバーで2月に引退したFW大野忍氏(36)だ。今回、本紙評論家に就任した天才ドリブラーが舌鋒鋭く、なでしこジャパンが抱える問題点と立て直しに向けた大胆プランを披露した。

 今回、ご縁があって評論家を務めさせていただくことになりました大野忍です。東スポさんは女子サッカーを大きく扱ってくれて何度か拝見させていただいてました。そこで仕事をさせていただけるのは光栄ですし、私なりの視点でさまざまなことを語らせてもらえたらと思います。

 こうした解説、評論の仕事は初めてなので、先日、大先輩の澤穂希さん(41)にも相談させていただいたんです。ある程度かしこまった感じのほうがいいのか、と。そうしたら「そんなのはシノ(大野)じゃない」って。なので、私は誰に遠慮することなく、言いたいことを言うことにします。タイトルは「ひとりごと」とゆる~い感じでいきます。たまに言葉が悪くなるかもしれませんが、それも私ということで許してください。

 それにしても今のなでしこジャパン、いったいどうしちゃったのか。3連敗に終わったシービリーブスカップを見ましたが、結果以上に内容がひどすぎる。みんな何をやりたいの? 勝とうという気持ちがまるで伝わってこない。悲しいとか情けないという感情は通り越し「本当にヤバイ」としか思えませんでした。

 これって、高倉麻子監督(51)の責任なの? 確かに選手を選ぶのも、どういうサッカーをやらせるのかも決めるのは監督。でも3試合目の米国戦を見て感じたのは、監督じゃなくて、選手たちの問題のほうが大きいんじゃないか、というのが私の印象です。

 象徴的なシーンは2点目を奪われたところです。バックパスを受けたGK山下杏也加(24=日テレ)のクリアが相手に直接渡り、失点。やってはいけないミスだけど、そういうのが出るのもサッカー。だけど、その後に他の選手たちは何か淡々と試合を続けているように見えたんです。

 私がやっているころも試合の中で「この選手、今日は調子悪いな」という人はいました。それが分かった瞬間、周りの選手は調子が悪い選手をフォローするような声かけや、プレーをしていました。だけど、あの米国戦では2失点目以降も山下が不安定なキックを続けているのに、誰も助けようとしない。ねえ、みんなホントに危機感持ってるの? 口で言っているだけで、全然行動に移していないじゃん! 少し感情的になってしまい、すみません。今のチームは選手間のコミュニケーションの部分で問題があるんでしょう。W杯優勝メンバーで現主将のDF熊谷紗希(29=リヨン)もFW岩渕真奈(27=INAC神戸)も苦しんでいるはず。どうして以前のようなチームができないんだろうって。OGとして助けてあげたい。それは澤さんや(宮間)あや(35)だって同じことを思っている。今はなでしこ最大のピンチ。そこから抜け出すためには大胆な行動も必要ですよ。もし可能なら、なでしこの合宿に澤さんやあやだけでなく、米国で頑張っている永里優季(32=シカゴ・レッドスターズ)や川澄奈穂美(34=スカイ・ブルー)、丸山桂里奈(36)も呼んで、試合をやらせてほしい。あ、でも桂里奈はタレントになって体が重くなっちゃったから無理か(笑い)。私は食事だけの「ご飯要員」でもいいから。とにかく選手たちといろんな話をして不安を取り除いてあげたい。もちろん、高倉監督が許せばの話ですが。

 2年前の男子のロシアW杯の時も、大会まで2か月の時点で西野朗さん(64)を新監督にして結果(ベスト16)を出しましたよね。なでしこは本番まで4か月もあります。選手のメンタル面さえ改善できれば必ずチームは立て直せる。過去も今も関係ない。今は新型コロナウイルスの問題で東京五輪の開催延期という話も出ていますが、総力を結集し、ロンドン五輪の銀メダルより上のメダルを手にしてほしいです。

 ☆おおの・しのぶ 1984年1月23日生まれ。神奈川・座間市出身。中学生で読売西友メニーナに入団し、99年にベレーザに昇格。2011年にINAC神戸に移籍し、リヨン(フランス)など海外でもプレーした。国内リーグでは歴代最多182得点をマーク。03年になでしこジャパン初選出。11年ドイツW杯優勝、12年ロンドン五輪銀メダルなどに貢献した。20年2月に引退し、INAC東京(INAC神戸の育成組織)のテクニカルコーチに就任。代表通算139試合40得点。