堂安が五輪仕様に改造中 個人トレーナーが語る

2020年01月20日 16時30分

法政大の杉本教授。研究室には指導した選手のユニホームが飾られている

 進化の秘訣とは――。東京五輪世代の日本代表MF堂安律(21=PSVアイントホーフェン)を指導する個人トレーナーで法政大教授の杉本龍勇氏(49)が本紙のインタビューに応じた。陸上男子短距離でバルセロナ五輪に出場したオリンピアンは、かねて指導する元日本代表FW岡崎慎司(33=ウエスカ)との比較や、五輪エース候補の金メダル獲得プランを明かした。

 ――バルセロナ五輪に出場した経験を踏まえて、選手にどんな指導をするのか

 杉本氏 最初は走り方で入っていくが、体の動かし方や技術を優先した上で走るというトレーニングにつなげる。単に足を速くするだけではなく、運動能力全般も同時に上げていく。体の巧緻性(こうちせい=器用さ)をメインのコンセプトにアプローチし、選手個々に合致するメニューをつくるよう心がけている。

 ――サッカー選手を指導するキッカケは

 杉本 長谷川健太さん(現J1FC東京監督=54)が浜松大で指導しているとき、私が陸上部の指導をしていて、サッカー部のサポートを頼まれた。その後、長谷川さんが清水の監督になって私を引っ張っていただいた。岡崎とは“同期入社”なんでね(笑い)。

 ――その岡崎を筆頭に、様々なサッカー選手の指導に携わる

 杉本(吉田)麻也(31=サウサンプトン)、長友(佑都=33、ガラタサライ)、宮市(亮=27、ザンクトパウリ)、食野(亮太郎=21、ハーツ)、板倉(滉=22、フローニンゲン)といった選手たち。僕の場合は選手にとっての“最後の駆け込み寺”なので。(動きが)良くないとき、困ったときに来る感じ。

 ――岡崎と堂安を比較すると

 杉本 律を初めて見たときに“技術の高い岡崎”だと思った。体が強い。海外でやるには体の強さが大事な武器。もともと彼の才能としてたけていた。成長曲線は律のほうが早いかもしれない。ただ、到達したものを比べたら、まだ岡崎のレベルではないし、いつどの年齢で追い越していくのかというのは自身も考えている。律は取り組む心構え、気持ちが意外と真面目で、最初は体の反応が鈍くてもいずれ獲得できる心構えの素地、思考力がある。そこは岡崎と似ている。

 ――堂安に対するトレーニング内容は

 杉本 まずは姿勢をちゃんと良くして、あとはリズムが一番大事。若いときは筋力だけで姿勢が悪くても動くが、一定の年齢になると頭打ちになる。なので新しく神経回路をつくり、トレーニングの負荷で成長させていく。僕の場合は神経生理学。今まで眠っていた部分を覚醒させるところにアプローチし、チーム練習や筋トレでもプラスになるようなトレーニング内容を提供している。

 ――東京五輪に向けて強化中のポイントは

 杉本 先を見据えると、突破力や推進力をどうするか。本人は「ワイドで勝負したい」と言っているが、世界的な選手は自分でボールを運べて突破できる。ボールを持つ技術はしっかりしているけど、完全に抜き切るまでのスピードがあるわけじゃない。だから“ぶっちぎれる”選手を目指すべきだし、そういう選手になれるようなトレーニングをしている。特に五輪を考えると、そういうぶっちぎるシーンが数、頻度としては出てくることが大事だ。

 ――進化の手応えは感じるか

 杉本 年末に僕がオランダに行こうと思って(日本に)帰ってこないのか聞いたら「帰っても友達と飲むだけになっちゃうので、こっちに残ってトレーニングしようと思っています。時間ありますか」と珍しく言ってきたのは、本気度がかなり増してきた証しだと思う。東京五輪では「最低でもエースにならなければダメだよな」という話はしている。