【韓国・釜山発】劇勝した日韓戦の裏で「課題」と「弱点」が浮き彫りに――。東アジアE―1選手権の韓国戦(17日)に臨んだなでしこジャパンは1―0と勝利し、4大会ぶり3度目の優勝を決めた。来夏の東京五輪前最後の公式戦でタイトル奪取と最高の結果を出したが、2年連続なでしこリーグMVPのFW田中美南(25=日テレ)は悲願の五輪金メダルを狙うためにチームの現状を分析した。

 完全アウェーの中、なでしこジャパンは試合終了間際のPK弾で宿敵を打ち破った。無失点の3連勝と完全優勝を果たした高倉麻子監督(51)は「優勝はやたらうれしかった。(6月フランス)W杯で負けて以降は悔しさがチームの根底にあったので」とタイトル奪取の意義を強調した。

 エースのFW岩渕真奈(26=INAC神戸)をはじめ、主力に負傷者が相次いだが、アジアのライバルをねじ伏せた価値は大きい。その一方、今大会は韓国戦を含めて多くの課題が露呈したのも事実。なでしこリーグで2年連続MVP、4年連続得点王の“最強ストライカー”田中は、メダル獲得が期待される東京五輪に向けてチームの現状をどう見ているのか。

「今回優勝できて結果としてはすごくよかったけど、世界一を取るとなったら内容も上げていかないといけない」。指摘したのは“判断力”だ。「ビルドアップのところをどうするのか。今はチームとしてつないでいこうと話をしている。ただ、前がかりになって難しいときは裏に流したりもする。つなげるタイミング、どうつなぐかの判断を個人個人がやらないと」

 状況に応じてパスを回すのか、速攻を仕掛けるのか攻撃における判断の質を磨いていくことが重要と分析。「全体図というか、どこが空いていてどこに敵が来て、どこを攻めたらいいのかといった判断。それに伴う技術も上げていかないといけない」と説いた。

 海外勢への対応も改善が急務だ。「国内だと多少ズレても、フィジカルやスピードでどうにかなるけど、やっぱり外国人相手だと、アジアでも簡単にはいかない。ちょっとのズレでシュートが打てなかったり、自分の思うところに飛ばなかったりする。そういう精度を上げていかないと」

 日本はフランスW杯で欧州勢のフィジカルに屈して16強敗退の屈辱を味わった。今大会でも中国や韓国といった体格が勝る相手に球際で競り負ける場面が目立つなど“弱点”は相変わらず。五輪の舞台で世界の強豪を撃破するためには、最も重要かつ難しい課題だ。

 東アジアの舞台で浮き彫りになった問題点をどう解決するのかが、悲願の金メダルへの鍵になる。