新エース襲名だ。サッカー日本代表はカタールW杯アジア2次予選(14日、ビシケク)で2―0とキルギスに勝利。4連勝でF組首位をキープした原動力は、予選開幕4試合連続ゴールとなる先制弾を決めたMF南野拓実(24=ザルツブルク)だ。覚醒した今季はゴールを量産しているが、元日本代表FW武田修宏氏(52=本紙評論家)は歴代のカリスマ選手の系譜を継ぐ男として大絶賛した。

 W杯予選開幕から4試合連続弾。南野は「いつも狙っている。そういうしたたかさは世界と戦っていて感じているところなので、そういう部分を出せてよかった」と話し、代表で初めて務めたPKキッカーについても「重要な試合で決めることができてよかった」と笑顔を見せた。

 カズことFW三浦知良(52=J2横浜FC)の開幕から3試合連続ゴールを更新する得点。国際Aマッチでは5試合連続弾となりMF木村和司の6試合に次ぐ2位に並び、歴代のエースたちに匹敵する結果を残した。今季参戦する欧州チャンピオンズリーグ(CL)では昨季優勝のリバプール(イングランド)からゴールを奪取し、世界からも注目される。

 武田氏も「最高だよ。彼はストライカーの才能がある。これまでも伝えているように、素晴らしいパフォーマンスを出せる理由は精神面でしょう。今季はクラブでも結果を出しているから常に自信を持ってプレーできる。だからゴール前でも冷静だし、得点を決められるんだよ」と絶賛した。

 その上でこうみている。「もう代表チームには欠かせない存在じゃないかな。南野はチーム力に大きな影響を与えるような選手だよ。日本代表では、ヒデ(中田英寿氏=42)とか、本田(圭佑=33、フィテッセ)のような存在じゃないかな。そのくらいのカリスマ性があるよ。顔もイケているからいいんじゃない? 今後は人気も出るよ」

 かつて日本代表を支えた中田氏と本田は、ここ一番の大事な試合でしっかりと結果を出せる選手だった。2人とも日本代表だけではなくクラブでも圧倒的な存在感を放ち、欧州ビッグクラブでもプレーし、一時代を築いた。24歳の南野も日本サッカー界が誇る2大カリスマと肩を並べる存在になったというのだ。

 今季の活躍で今冬にも欧州4大リーグ(ドイツ、イングランド、イタリア、スペイン)へのステップアップが確実視される。欧州CLなどで活躍を続ければ、中田や本田が所属したビッグクラブ入りも夢ではない。南野は「記録にこだわりはない。チームが勝てばいい」と話すが、新エースとして飛躍のときは近そうだ。