“日本の至宝”は大丈夫なのか。国際親善試合パラグアイ戦(5日、カシマ)に臨む日本代表MF久保建英(18=マジョルカ)が3日、チームに合流した。今後のレギュラー争いに意気込むが、今回の参戦には不安もよぎる。6月のA代表デビュー以降、わずか3か月でめまぐるしく環境が変わっており、心身両面の負担が急激に増加しているのだ。

 久保はこの日、午前中にスペインから帰国し、午後からは茨城・鹿嶋市内で行われている日本代表合宿に参加した。森保ジャパンではMF堂安律(21=PSVアイントホーフェン)らとシ烈なポジション争いが予想されるが「最大限のプレーをして、あとはそれをどう評価してもらえるか。自分の力でそこは変えていかないといけない」と強い覚悟で勝ち抜く構えだ。

 また、森保一監督(51)がメンバー発表の会見で「もっとギラギラして」と飛ばした猛ゲキに対して「代表に選ばれている理由を見せなければいけない。ピッチ上で、森保監督が自分を選んでくれた理由を見せていければ」と話し、胸を張って期待に応えるつもりだ。

 日本代表で一気にエースへ駆け上がろうと鼻息も荒い久保だが、期待の一方で不安もある。久保と親交のあるJクラブ関係者は「前回代表で呼ばれたときからずっとバタバタだろ。環境もいろいろ変わったし、単純に移動距離だけ考えても半端ない。少し休ませてあげたいよな…」と、現状を不安視した。

 久保は初選出となった日本代表メンバーとして、6月に豊田と宮城での試合後、南米選手権が行われるブラジル入り。各地を移動しながら約2週間参加した大会中にスペイン1部レアル・マドリードへの移籍が決まり、帰国後は渡欧準備に追われつつ約1週間でスペインへ旅立った。さらにチーム合流後は息つく間もなく、カナダ合宿、米国での国際大会に出場後、一度スペインに戻ると、今度はドイツ遠征。その後はRマドリードのトップとBチームを行き来しながら、8月22日には同1部マジョルカに電撃移籍。新天地に慣れる間もなく、3日には長距離移動で日本に戻り、6日にはミャンマーへと向かう。

 移動距離はザッと7万8000キロ。地球2周分に近い。これだけ短期間に世界各地を飛び回れば、本紙が8月24日発行で報じたように、疲労の蓄積を不安視する声が出るのも当然。しかも成長途上の18歳となればなおさらだ。さらにプレーするチームがコロコロ変わることで戦術も違えば一緒にプレーする選手も異なり、頭の整理も大変で精神的な負担も大きい。そんな状況で未体験の重圧がのしかかるW杯予選に臨むため、周囲は負傷などアクシデントを懸念しているのだ。

 久保は「コンディションは長距離移動とか関係なく自分でつくっていければいいかな」と話したものの、超過酷スケジュールの影響が出ないことを願うばかりだ。