久保建 東京五輪招集へ「中田英パターン」のウルトラC

2019年07月24日 16時30分

久保(手前)は東京五輪に参戦できるか(ロイター)

 2020年東京五輪開会式は1年後の7月24日に行われる。4年に一度のスポーツの祭典まであと1年となり各地で記念イベントが開催され、機運が高まってきた。各競技団体も本格的な選手強化を進めており、日本オリンピック委員会(JOC)が目標に掲げる「金メダル30個」へ期待は膨らむばかり。有力選手たちが本番への意気込みを口にする中で、注目はサッカー男子でスペイン1部レアル・マドリードに加入したMF久保建英(18)の動向だ。エース候補の五輪招集に関しては“ウルトラCプラン”が浮上している。

 果たして久保は東京五輪に参戦できるのか。五輪のサッカー男子は23歳以下の若手選手を中心にオーバーエージ(24歳以上)枠の3人でチームを編成するが、五輪に関しては各クラブに選手を派遣する義務がなく、招集するにはあくまで個別交渉で協力を依頼する。

 ただ、海外クラブは五輪への関心が薄く、選手派遣に関して非協力的だ。2016年リオ五輪でも当時ヤングボーイズ(スイス)に所属したFW久保裕也の派遣を拒否されるなど、苦難の連続だった。今回の東京大会に向けてはエース候補の久保がRマドリード入りしたため、五輪参戦は不透明な状況とされる。

 メダル獲得には久保をはじめスペイン1部バルセロナ入りしたMF安部裕葵(20)、イタリア1部ボローニャのDF冨安健洋(20)ら海外クラブ所属選手の招集は不可欠となる。日本サッカー協会の関塚隆技術委員長(58)は「海外でプレーする選手が増えたので、しっかりと把握しながら調整に取り組んでいかないといけない」と、ベストメンバー招集を実現させたい構えだ。

 すでに「欧州駐在強化部員」で元日本代表MF藤田俊哉氏(47)をRマドリードに派遣し定期的に話し合いを持つ計画があり、ほかにもA代表と東京五輪代表を兼務する森保一監督(50)を送り込み直々に久保招集を要請する案が検討される。しかし、現時点でクラブ側の方針は不明な上に、久保のトップチーム昇格などの動向もあって確約が得られる保証はない。

 そんな中、海外クラブと様々な交渉を行ってきたJクラブ強化担当者は「いろいろなやり方はあると思うよ。たとえば大人の解決法だけどお金を支払うとかね。まあ、それは別としても欧州は契約社会だから向こう(Rマドリード)にもメリットがあるように交渉しないと…。お願いだけでは難しいんじゃないか」。

 そこで浮上するのは五輪専念プランだ。久保の五輪出場を条件に、A代表への招集を見送るという案。頻繁に日本とスペインを往復することでの肉体的な負担を軽減できるとともに、クラブとしても“ルーキー”の久保にRマドリードイズムを徹底的に叩き込むために継続的な指導、強化を施せるのは大きなメリットとなるだろう。

 実際に、1999年シドニー五輪アジア最終予選では、すでにA代表のエースだったMF中田英寿が投入された。当時の技術委員は「出場権獲得のためにヒデの力が必要だった。クラブ(当時所属のイタリア1部ペルージャ)にはA代表に招集しない代わりに出してもらった」。現在とは選手招集のルールが違うものの、クラブとの交渉がうまく実った好例だ。

 日本が68年メキシコ五輪銅メダル以来となる表彰台に立つためには、久保の招集可否が大きなポイント。今後も注目を集めることになる。