【フランス女子W杯】終戦なでしこ 何がダメだったのか

2019年06月27日 11時00分

痛恨のハンドでPKを献上した熊谷(左=ロイター)

【フランス・レンヌ25日(日本時間26日)発】サッカーのフランス女子W杯決勝トーナメント1回戦が行われ、国際サッカー連盟(FIFA)ランキング7位の日本(なでしこジャパン)は同8位のオランダに1―2で敗れ、16強で姿を消した。1―1で迎えた試合終盤にPKを与えて勝ち越しを許し、万事休す。2大会ぶりの世界一奪還が目標だったが、臨戦態勢すら整わず、不完全燃焼のまま大会を去ることになった。チームに足りなかったものは一体何だったのか――。

 試合終了の笛が鳴り、天を仰いだイレブンは涙が止まらなかった。王座奪還どころか、過去2大会の成績に遠く及ばない16強止まり。フランスの夜空はなでしこジャパンに残酷な結末を用意していた。

 試合は完全に日本の流れだった。前半17分に先制点を許したものの、次世代エース候補のMF長谷川唯(22=日テレ)が意地を見せた。同43分、FW岩渕真奈(26=INAC神戸)からのスルーパスに抜け出して右足でゴールへと流し込み、前半のうちに追いついた。

 勝ち越しを狙った後半は、序盤にオランダの猛攻にさらされるも、前線からの激しいチェックで防戦。20分過ぎからは攻勢に出て、何度も決定機をつくった。だが懸案事項となっている決定力が足りない。31分の岩渕のシュートは右に外れ、34分のMF杉田妃和(22=INAC神戸)のシュートはクロスバーを叩いた。後半途中から今大会初出場となったMF籾木結花(23=日テレ)の35分のシュートも相手GKの好セーブに阻まれた。嫌な流れの中、後半45分に主将のDF熊谷紗希(28=リヨン)がペナルティーエリア内で痛恨のハンドでPKを献上。これを決められて終戦した。

 悔し涙の高倉麻子監督(51)は「後半はいけると思ったが決めきる力がなかった。フィジカル的に弱さがあるので、技術的な精度を高めていかないといけない。勝負強さがまだない。ここで倒れることなく、次に進んでいきたい」と今後に向けた課題を挙げたが、今大会は試合に臨むにあたって足りないものが多すぎた。

 まずは選手不足。ケガなどでコンディションに不安を抱える選手が続出してしまい、23人全員誰でも試合に出せる状態ではなかった。今季公式戦出場ゼロで復調に努めていたMF阪口夢穂(31=日テレ)、ふくらはぎを痛めたDF宇津木瑠美(30=レイン)は主力としての働きを期待されながら出番なし。そのため紅白戦もできず、健康な選手の調整不足まで招いた。大会中にFW菅沢優衣(28=浦和)が「公式戦を意識した練習は難しかった」と漏らしたほどだ。

 若手中心のメンバーも裏目に出た。23人中W杯経験者はわずか6人。厳しいW杯の戦いを勝ち上がる経験は圧倒的に足りなかった。3度目のW杯となったベテランDF鮫島彩(32=INAC神戸)は「国際試合10試合未満の子が多いけど、それはそれで怖いもの知らずの勢いも大切」と期待していたが、現実は甘くなかった。敗戦に涙を流した長谷川は「一発勝負を勝つにはまだまだ」と足りないものを認めるしかなかった。

 指揮官の采配力も不発に終わった。使える選手に限りがあったとはいえ、今大会は交代選手が試合を決めた例はなし。この日は籾木の投入で攻撃が活性化されたが、交代カードを1枚残したまま。高倉監督は「延長もあるという中で、思い切ってもう1枚切ってもよかったが、(試合中に選手の)ケガもある。ただ終わってみればもう1枚カードを切ってもよかったかなと思う」と歯切れの悪いコメントを残した。

 早期敗退は必然だったなでしこジャパン。メダル獲得を期待される来年の東京五輪に向け、立て直す時間は決して長くない。