【フランス・ニース19日(日本時間20日)発】国際サッカー連盟(FIFA)ランキング7位の日本(なでしこジャパン)は、フランス女子W杯1次リーグD組最終戦でイングランドに0―2で敗れた。目標にしていたD組1位突破はならなかったが、2大会ぶりの頂点に向けて明るい材料も少なくない。後半途中から攻撃が活性化し、チームは明らかに進化。決勝トーナメントの日程にも恵まれ、FIFAランク1位の米国や開催国の同3位フランスとは決勝まで当たらない組み合わせとなった。

 イングランドは過去の対戦成績1勝3敗2分けと分の悪い相手。前半14分に中盤のマークを外され、縦パス1本で早々と失点して苦しい展開となったが、劣勢の時間は長くなかった。

 後半16分、FW菅沢優衣香(28=浦和)、同17分にMF三浦成美(21=日テレ)が投入され、今大会初勝利を挙げた1次リーグ第2戦スコットランド戦と同じ布陣になると、流れは日本へ。同28分に菅沢が相手のバックパスを奪うと、ペナルティーエリア手前から鋭いシュートを放つ。これは相手GKのファインセーブに阻まれてしまうが、この後もチャンスをつくった。同31分にはFW岩渕真奈(26=INAC神戸)が絶妙なスルーパスを送るも、菅沢がトラップしきれずに流れてしまう。同44分にも菅沢は相手GKと1対1となる絶好機を迎えたが、右足シュートはGKに足ではじかれた。

 前がかりになった同39分に2点目を献上したのは課題だが、現時点でのベストメンバーなら強豪相手でも十分に勝負になったことは収穫。オランダかカナダと対戦する決勝トーナメント(T)1回戦(25日=同26日)についても悲観的な材料は少ない。あとは好機を確実にモノにするだけ。菅沢は「チャンスを決めきれなかったのは反省しないといけない。決勝Tはそこを決めきることが大切」と強調した。

 試合ごとにチームとしての成熟度がアップしているプラス材料だけでなく、2位突破ならではのメリットも得られた。1位突破なら次戦まで中3日だったが、中5日の日程が確定。左足首を痛めているMF長谷川唯(22=日テレ)や復調途上のMF阪口夢穂(31=日テレ)らが万全に近づく時間をより多く確保できる。現時点のベストメンバーからさらなる戦力アップを見込めるのだ。

 さらになでしこジャパンが組み込まれたトーナメントの山は、2大会ぶり優勝へ最大の難敵となるFIFAランキング1位の米国や開催国のフランスとは決勝まで当たらない。もちろん、この日決まった組み合わせでも準決勝で同2位のドイツが待ち構えるが、2位突破の割にはラッキーな山に入った。準優勝した15年カナダ女子W杯は組み合わせにも恵まれ、決勝まで進んでいる。

 ちなみに、1次リーグ最終戦でイングランドに0―2で敗戦というのは、11年ドイツ女子W杯の時とスコアまで同じ。当時はこの敗戦をバネにし、準々決勝のドイツ撃破から初優勝につなげた。この結果は今大会の行方を暗示しているのか。期待できる要素は十分に揃っている。