【女子W杯】なでしこ決勝トーナメント進出決定も「異変」

2019年06月17日 16時30分

【フランス・ニース16日(日本時間17日)発】なでしこに異変が起こっている。フランス女子W杯1次リーグD組の日本は今大会初勝利を挙げたスコットランド戦(14日)を終えて移動し、この日から練習再開となるはずだったが、高倉麻子監督(51)の意向で完全オフとなった。多くのケガ人を抱える中で回復を優先させた形だが、練習不足の懸念は募るばかり。19日(同20日)のイングランド戦を待たずに3大会連続の決勝トーナメント進出が決まったものの、選手たちの心身のバランスは極めて微妙な状態だ。

 15日に発表されていた予定では、ケガ人だけがリハビリ目的で練習場に姿を見せることになっていたが、この日の朝になって急きょ予定を変更。前日が移動だけだったため、2日連続で練習を行わないことになった。これまで、どんな状況でもランニング程度の練習は行ってきたなでしこジャパンとしては、かなり珍しい出来事だ。

 5月末の合宿開始からケガ人が多く、フランス入りしてからもスペインとの親善試合などで数人が負傷。現状ではMF阪口夢穂(31)、MF長谷川唯(22)ら日テレ勢5人が故障を抱え、スコットランド戦で先制ゴールのFW岩渕真奈(26=INAC神戸)も右ヒザの状態は万全ではない。紅白戦ができないのは相変わらずとあって、「予想外」と頭を抱える指揮官も積極的に休みを取ったというより“練習したくてもできない”というのが実情のようだ。

 今大会、非公開練習が多いのも、苦しい台所事情を見せたくないから。チーム広報は「別に隠したいものは何もない」と話しているが、別メニュー選手が多いことがわかれば相手も次戦の出場メンバーの予測はしやすい。指揮官自ら「まともにいっては勝てない」と言うだけに“奇襲”をかけるには、手の内をさらすワケにはいかない。

 とはいえ、ケガもなく元気な選手にとっては、練習がなくなることでアピールの場が減る。思うような練習ができず「フラストレーションをためている選手もいる」という声も漏れてきている。初優勝した2011年ドイツ大会では、最初は控え組だったMF川澄奈穂美が練習でコンディションを上げ、準決勝でスタメンを奪取。一躍、シンデレラとなったが、今回のチーム状態ではそんなラッキーガールの出現も期待しにくい。

 この日、1次リーグ全6組の第2戦が終了。D組で勝ち点4の日本が、1次リーグを突破できる各組3位以内の上位4チームに入ることが確定したため、決勝T進出が決まった。高倉監督は日本協会を通じてコメントを発表。「16強進出が決まったことは、目標に近づくという点では一歩前進です。しかし、なでしこジャパンの目標はもっと高いところにあります。まずは目の前のイングランド戦に集中して戦います」と語り、気を引き締めた。王座奪還に向けて、不安定なチーム状態がどこまで改善されるかが注目される。