【前園真聖 ゾノの焦点】日本代表は世界の強豪国に勝てるのか。ブラジル1部の名門サントスなどでプレーした経験のある元日本代表MF前園真聖氏(45)が、14日(日本時間15日)開幕の南米選手権(ブラジル)に臨む森保ジャパンの戦いに迫った。新エース候補MF久保建英(18=FC東京)に加えて初代表13人という東京五輪世代を中心としたフレッシュなメンバーでは、“歴史的惨敗”になりかねないというが…。

 南米でもっとも注目度の高い大会です。もちろん公式戦ですし、各国代表ともW杯と同じような意気込みで、欧州クラブでプレーしている選手たちを招集。優勝候補のアルゼンチンもエースFWリオネル・メッシ(31=バルセロナ)を中心にしたベストメンバーを組んで臨むように、各国が威信をかけて戦う真剣勝負の舞台となります。

 そんな大会に挑む日本は、残念ながら選手招集の拘束力がないため、ベストメンバーを集められませんでした。欧州クラブの全面的な協力を得られず、Jクラブも同時期にリーグ戦が開催中とあって主力の派遣には難色を示したそうです。そこでMF久保ら東京五輪世代の若手を中心にしたチームを編成しました。

 やむを得ない事情があったとはいえ、このチームで南米選手権を勝ち抜くのは正直に「非常に厳しい」と言うしかありません。日本とは明らかに異なる環境ですし、グラウンドも比較的硬く、芝生も深い(長い)ので日本のパスサッカーには不向きな設定です。普段と同じようにプレーするのは難しいでしょう。

 しかも日本にとっては完全アウェーとなる舞台です。熱狂的な地元サポーターからは容赦ないブーイングが飛び交います。さらにプレー面でも球際は激しく、少しでも油断すれば簡単に吹き飛ばされるでしょう。重圧もある日本イレブンがなすすべなく、惨敗する可能性も十分。みじめな思いをすることがあるかもしれません。実際に、フィリップ・トルシエ監督時代に初参加した20年前は、ほぼベストメンバーながら1分け2敗と屈辱の完敗で1次リーグ敗退でした。

 その一方、南米強豪国と真剣勝負ができる機会はめったにありません。特に若い五輪世代にとって貴重な経験になるのは間違いないでしょう。どれだけスキを見せずに最後までファイトできるのか。さまざまな重圧やハンディを乗り越えて、しっかりと強化につなげてほしいところです。