【フランス女子W杯】痛恨ドローなでしこ 1次リーグ突破のカギ

2019年06月12日 11時00分

まさかの引き分けにぼう然の鮫島(左)ら日本イレブン(ロイター)

【フランス・パリ10日(日本時間11日)発】なでしこが早くも崖っ縁に立たされた。フランス女子W杯1次リーグ初戦となったD組の日本(なでしこジャパン)は、過去4戦4勝と相性が良かったアルゼンチンと0―0でまさかの引き分け。圧倒的に試合を支配したものの、相手の守備を崩せずに終わった。2大会ぶりの優勝に向けて絶対に落とせなくなった次戦のスコットランド戦(14日午後3時=同午後10時)で求められるものとは――。

 試合終了の笛が鳴った直後の両チームの表情がすべてを物語っていた。まるで優勝したかのような喜びようで、ロッカー室前でも歓喜の大合唱をする国際サッカー連盟(FIFA)ランキング37位のアルゼンチンに対し、肩を落として引き揚げる同7位のなでしこジャパン。難しいとされる大会初戦のワナにはまった形で、過去2大会出場のFW岩渕真奈(26=INAC神戸)は「勝ち切らなければならない試合だったのに、本当に情けない」と力なく語った。

 試合は予想外の展開だった。アルゼンチンは1トップの選手まで自陣に引いて守って日本の攻撃に対応。分厚い守備ブロックを敷かれた日本は、細かなパスを回して隙をうかがったが、チャンスすら作らせてもらえなかった。

 前半9分にMF中島依美(28=INAC神戸)がペナルティーエリア右からシュートを放つが、枠をとらえられず。同10分のFW菅沢優衣香(28=浦和)のヘディングシュートも力なくGKにキャッチされた。

 後半に入っても攻めてこないアルゼンチンに対し、日本は5分にFW横山久美(25=長野)がミドルシュート。GKがはじいたところを菅沢が詰めたが左足シュートは枠を外れた。11分には右サイドを抜けたDF清水梨紗(22=日テレ)がマイナス方向に折り返し、MF杉田妃和(22=INAC神戸)が絶妙のスルー。待っていたMF長谷川唯(22=日テレ)が左足シュートを放ったが、無情にも左に外れた。

 その後は12分に岩渕、29分にはFW遠藤純(19=日テレ)、45分にはFW宝田沙織(19=C大阪堺)が投入されたが、いずれも不発。支配率は61%にのぼったが、勝ち点3を手にすることはできなかった。

 王座奪還に向けては痛恨の取りこぼし。次のスコットランド戦では最低でも勝ち点を取らないと、最終戦には過去1勝2分け3敗と分が悪く、同3位のイングランド戦が控えるだけに、1次リーグ敗退の恐れもある。そのスコットランドは世界ランキング20位で、アルゼンチンと対照的に、パワーを前面に出して攻撃的な戦術をとるチーム。勝利のポイントとなるのは「こだわりの排除」と「試合中の修正力」だろう。

 アルゼンチン戦は相手が引いて守っているにもかかわらず、足元のパスで打開しようとして自滅。中島は「ミドルシュートなどの意識を全員がもっと持って行くべきだった」とパスサッカーで成功を収めてきた長谷川ら若手の意識改革を求めた。

 また、ベテランのDF鮫島彩(31=INAC神戸)は「ビルドアップの時のポジショニングが効果的でなかった。後ろが重たすぎた」とし、守備的MFとサイドバックの攻撃参加の少なさを指摘。相手の布陣を見て、臨機応変に攻め手を変えることの重要性を訴えた。

 今大会の日本は出場24チーム中、平均年齢が2番目に若い24・17歳。経験不足の不安がある一方で、伸びしろも十分にある。何より、逆境に強いのがなでしこの伝統。下を向くのはまだ早い。

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 口調は冷静さを保っていたものの「アルゼンチンが引き気味のポジションでゴールを固めてくる中で、ゴールへ向かうパワーが足りなかった。ハーフタイムに『積極的にゴールを目指せ!』と指示して後半はゴールへ向かうパワーは増したが、変化をつけるなど崩すアイデアや個人の力が足りなかった」という言葉には不満がにじみ出ていた。

 絶対に負けられない1次リーグ初戦だけに「守備はしっかりやるというのはあった」。だが「選手は慎重になった部分もあったと思うが、守備的な布陣を組んだわけではないし、そういう発想もしていない。なんとか1点を取りにいったが、結果的にアルゼンチンを壊す力がなかった」と力不足を嘆いた。

 それでも指揮官は「勝ち点1を取ったことをプラスに考えて前へ進んでいくだけ。修正をかけるところはかける。(スコットランド戦は)同じやり方ではないと思う」とテコ入れを示唆。次戦の必勝を誓った。