トラウマの影響か――。森保ジャパンは5日の国際親善試合トリニダード・トバゴ戦(豊田)で0―0と引き分けに終わった。日本代表初選出のMF久保建英(18=FC東京)がベンチ外となる一方で、森保一監督(50)は3バック戦術を実戦で初採用するも格下相手に勝ち切れなかった。イレブン間には“過去の失敗”もあって、今秋から始まる2022年カタールW杯アジア予選に向けて不安が広がっている。

 国際サッカー連盟(FIFA)ランキング26位の日本に対し、トリニダード・トバゴは93位。格下相手に攻めまくるもゴールを割ることはできず、ホームで痛恨のスコアレスドローに終わった。その原因の一つは森保ジャパンで初導入した3バック布陣だ。センターバックにDF冨安健洋(20=シントトロイデン)ら3人を配置し、本来サイドバックのDF長友佑都(32=ガラタサライ)とDF酒井宏樹(29=マルセイユ)が左右ウイングバックを務めた。攻撃的なシステムだが、ゴールをこじ開けることはできなかった。

 森保監督は「3バックでこれまでの戦い方と変えて戦ったところ、選手たちが成長の糧にしようとよくやってくれた」と語ったが、イレブンは新システムをオプションとして好意的に受け止める一方で戸惑いの声も続出した。

 攻撃陣の一角を担ったMF南野拓実(24=ザルツブルク)は「もしかしたらゴール前でのところは、前(4バック)のポジションのほうがやりやすさはあったのかもしれない」と分析。無失点に封じたGKシュミット・ダニエル(27=仙台)も「強い相手に、この守り方で守れるかというのは…。試すというか、もっと見る必要はある」とW杯予選に向けて不安を口にする。

 選手たちが困惑するのは、3バックでは失敗を繰り返してきた日本代表の歴史も関係する。長年代表でプレーしてきた長友は「正直、3バックに対して良いイメージがなかった。代表で3バックが機能したことないじゃないですか。(アルベルト)ザッケローニ(元日本代表監督)さんの時もやったけどハマらなくて、自分自身も混乱していた」と指摘する。

 ザックジャパン時代は何度も3バックを試みたが、ことごとく失敗。昨夏のロシアW杯前にバヒド・ハリルホジッチ元監督の解任を受けて緊急登板した西野朗前監督も、国際親善試合ガーナ戦で3バック布陣を試してみたが、うまく機能せず。選手たちにも動揺が広がったことでわずか1試合のみで“封印”した。

 これまで日本代表にはなじまなかったフォーメーションを再び引っ張り出してきた森保監督だが、結果も内容もいまひとつ。今後どのように布陣を使い分けていくのか。指揮官の決断がチームの命運を左右しそうだ。