“新旧エース対決”の行方は――。日本代表は3日、国際親善試合トリニダード・トバゴ戦(5日、豊田)に向けて非公開練習を行った。3月に続く招集でレギュラー奪取に意欲を見せるのは10番を背負うMF香川真司(30=ベシクタシュ)。MF久保建英(18=FC東京)の初選出で激化するポジション争いにもヤル気満々だ。その視線の先には2022年カタールW杯だけでなく、来夏の東京五輪も入っている。

 久保という強力なライバルが加わった攻撃的MFのポジション争いはさらに激化必至だ。香川は「17歳であれだけ結果を残しているのは普通じゃない。若い選手は勢いがあるし“早く場所を空けてください”という感覚がある」と厳しい現状を実感している。

 ロシアW杯後、MF中島翔哉(24=アルドハイル)、MF南野拓実(24=ザルツブルク)、MF堂安律(20=フローニンゲン)の“三羽ガラス”の台頭でレギュラーの座は安泰ではなくなった。そこに“天才少年”が加入し、日本の10番を背負う香川も、危機感を抱かざるを得ないわけだ。

 特に久保を“ライバル視”しているが、それはA代表に限ったことではないという。香川の関係者は「カタールW杯はもちろん、東京五輪への思いも強くなっている。地元開催を現役として経験できるのは一度きりだし、サッカー界だけじゃなく日本中が注目するビッグイベントだから『必要とされるならぜひプレーしたい』と話している」。

 香川は2008年北京五輪に飛び級で出場したが、1次リーグで敗退。本来の世代である12年ロンドン五輪は当時の関塚隆監督(現日本サッカー協会技術委員長)が招集を熱望しながら、強豪マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に移籍した直後で、クラブから参戦許可が出ずに選出されなかった。

 ただ、東京五輪は国民的関心事。なかでもサッカーは悲願の金メダルを目標に掲げており、ファンの注目度も高い。香川は昨年7月のイベントで東京五輪について「森保さんにアピールしておこうかな」と色気を見せたように、大舞台のピッチに立ちたいという意欲が日に日に高まっているのだ。

 24歳以上のオーバーエージ(OA)枠での五輪参戦を実現させるためにも、まずはA代表で久保以上のパフォーマンスを示すことが不可欠。さらには「今までいろんな選手とやってきたことで、合わせるのはいい意味でも悪い意味でもうまくなっている」(香川)。五輪での共闘を見据えて久保の能力を最大限に引き出すプレーを、日本代表と五輪代表を兼務する森保一監督(50)に見せていく構えだ。

 その一方で、香川がOA争いに絡んでくれば「東京五輪出場が目標」と公言しているMF本田圭佑(32=メルボルン・ビクトリー)とのガチンコ争いも注目される。森保ジャパンの10番は来夏にエース復権をアピールできるか。