新たな挑戦の成否はいかに――。カズこと元日本代表FW三浦知良(54)が、J2横浜FCから日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿に期限付き移籍することが11日に正式決定。出場機会を求めて実兄の三浦泰年氏(56)が監督兼ゼネラルマネジャー(GM)を務める新天地での挑戦を選んだ。2月26日に55歳の誕生日を迎えるストライカーは4部相当のカテゴリーで輝けるのか。盟友の元日本代表FW武田修宏氏(54=本紙評論家)はポジティブな見解を示した。

 1月11日午前11時11分。これまでの契約更新発表と同じように、代名詞の背番号「11」にちなんだ日時に新天地入りが発表された。カズは鈴鹿を通じて「ピッチの上でクラブの勝利に貢献できるよう努力していきます」と意気込みを示した。また、横浜FCの公式ツイッターにアップされた動画では2005~21年にわたる応援への感謝を語った。

 泰年監督兼GMが「戦力になる」と獲得を希望して入団した経緯があるが、公式戦のゴールはJ2時代の17年3月12日の群馬戦が最後。昨季に至っては、リーグ戦の出場は1試合でわずか1分だった。昨季のJ1からカテゴリーは4部に落ちても、超ベテランが活躍できるのかを疑問視する声もある。

 しかし、武田氏は「プロサッカー選手としてピッチに立ちたいという決断だったと思う。ゴール前のポジショニングのうまさや得点への執着心は日本でナンバーワン。後半途中出場で3試合に1点は取れるんじゃないかな」と活躍に太鼓判。3月13日開幕の今季はリーグ戦計30試合を戦うため、最大で2ケタ得点もあり得るとの見立てだ。

 もちろん、カズをよく知る泰年氏の存在も大きい。「ヤスさんなら、カズさんをうまくコントロールできる。カズさんは、はっきり意見を言うタイプだけど、しっかり受け止められるからね」。また、昨年11月に鈴鹿を訪れた武田氏は「質の高い練習をしていた」と話しており、トレーニングを通じての伸びしろもありそうだ。

 気がかりなのは施設などの環境面。ただ、武田氏は「J1、J2のクラブと比べると厳しい部分もあるだろうけど、若いときにブラジルでやっていたころはシャワーもないような施設でも、サッカーをできる喜びを感じていたわけだし、十分にやっていけると思う」。鈴鹿側もJリーグ入りを見据えて改善を目指していくという。

 今回は期限付き移籍でいずれ横浜FCへの復帰も考えられるが、鈴鹿で活躍すれば完全移籍の話も出てくるだろう。いずれにしても、現役生活はまだ続きそう。先輩に刺激を受けた武田氏は「コーチのオファーがあれば、ヤスさんとカズさんと一緒に鈴鹿を盛り上げたいね」と〝共闘〟の願望を口にした。