Jリーグの根幹とも言えるホームタウン制度を巡るドタバタ劇の背景にあるものとは――。

 ホームタウン制度の撤廃に関する一部報道を受けて、Jリーグの村井満チェアマンが17日に異例の声明を発表。「ホームタウン制度について撤廃・変更の事実は一切なく、今後、Jクラブの営業、プロモーション、イベント等のマーケティング活動における活動エリアに関する考え方の方向性について議論しているものです。Jリーグが創設当初から掲げている地域密着の思想が揺らぐものでは全くありません」と否定した。

 同制度はリーグ創設時からの基本理念だけに大きな注目を集め、J1浦和のDF槙野智章も自身のツイッターで反応。「仕掛けたもん勝ち。このやり方こそ、アイデアを出し行動する事、チャレンジする事に意味がある。やらないクラブは置いてかれる」と持論を展開し、波紋を広げることになった。

 今回の制度を巡る議論の背景についてJクラブ関係者はこう指摘する。「要は大都市圏、特に東京でのファン獲得がフォーカスされているということ。東京は世界でも有数の巨大市場だが、娯楽が多様化する中でサッカーに関心のある層が少なく、しかもそれが減少しているというデータもある」とJリーグ、ひいてはサッカー自体のファン離れが深刻化。そこで「Jリーグ全体としてファンの獲得に力を入れなければならないという議論の中で、一部のクラブからホームタウン以外での活動も認めるべきという意見が出ている」という。

 ホームタウン制度を維持する一方でどのような変革が行われるのか、動向に注目が集まる。