今季限りでの退任が決まったJ1浦和の大槻毅監督(47)が27日にオンラインで取材に応じ、チームの実情と未来について〝提言〟した。

 大槻監督は2012年から浦和でユース世代を中心に指導し、18年に堀孝史監督の解任を受けて暫定監督としてトップチームを指揮。その後、オズワルド・オリベイラ監督の就任に伴いヘッドコーチになり、19年の開幕時には一度現場から退いた。しかし、同年5月末にオリベイラ監督の解任を受け、2度目の緊急登板。チーム再建への道筋を立て退団が決まった。

 紆余曲折あった浦和でのキャリアを振り返り「誇りと責任を持ってやってきた。長くこのクラブにいるし、常にこのクラブの未来を考えている」と大槻監督。そのうえで浦和の現状をこう語った。

「チームを作るのは家でいうと増改築。選手がガラッと変わるわけではない。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)があるときにはそれに合った編成をしないといけなかったり、ここ数年ミシャ(ミハイロ・ペトロビッチ現札幌監督=63)さんの後に監督が代わる回数が多かった。そのたびにクラブがオーダーを聞いて選手を補強する中で、編成を含めて少しバランスが悪いところが出てきた。やるサッカーが変わるたびに獲ってくる選手の質が変わってくるところがあった」。クラブが抱える課題を率直に指摘した。

 そうした現状を脱すべく浦和は22年のリーグVを目指して今季から〝3か年計画〟を策定。「3年計画でしっかり針をゼロに近づける作業が必要だったと思う。サッカーのベースとなる強度やランニングだけでなく、しっかり反応する部分をベースで共有するのが必要だった。そういったところを選手の目線を揃える必要があった。そういった中でクラブが提示する目標設定もあるので両方を求めるのは難しいが、そこはクラブと話しながら進めてきた」と名門復活へ向けたチームの現在地を説明した。

 苦境の中で難しいかじ取りを担ってきた指揮官の熱き思いが、来季以降に実を結ぶか期待したいところだ。