J1川崎は25日のG大阪戦(等々力)に4―0で勝利を収め、2年ぶり3度目のリーグ優勝を果たした。

 勝てば優勝が決まる21日の大分戦(昭和電ド)では、0―1でまさかの敗戦。不穏な空気が漂ったが、鬼木達監督(46)は「次に戦うG大阪に向けて心はある」と一喝。〝今度こそ〟の思いは、きっちりと川崎イレブンに乗り移っていた。

 前半から果敢な攻撃を見せると、同22分にDF登里享平(30)が左サイドからクロスを供給。ゴール前へ走り込んだFWレアンドロ・ダミアン(31)が右足で合わせ、欲しかった先取点を奪った。同45分には右CKから流れてきたボールをFW家長昭博(34)が左足で叩き込み、貴重な追加点を挙げた。

 後半4分にもFW三笘薫(23)が得意のドリブルで敵陣中央まで侵入すると、スルーパスを送る。反応した家長が冷静に流し込んで3点目。同28分にも左サイドを抜け出した三笘のラストパスを家長が冷静に沈め、ハットトリックの活躍ぶり。さらに、同45分にはFW齋藤学(30)がゴールを決めるなど、最後まで圧巻の攻撃力を見せつけた。

 絶対に負けられない試合だった。川崎一筋18年のベテラン・MF中村憲剛(40)が今季限りでの引退を表明。かつて登里が「憲剛さんがいたからここまで成長できたし、憲剛さんみたいな選手になりたいと背中を見て頑張ってきた存在」と語っていたように、全員が「尊敬する憲剛さんのために」との思いでプレー。後半41分、中村が投入されたタイミングで交代したMF大島僚太(27)がキャプテンマークを託したシーンがすべてを物語っていた。受け取った中村は「ちょっと泣きそうになった」と満面の笑み。まさにチーム一丸で勝ち取ったタイトルだった。