攻撃力に磨きをかけたJ1神戸の元日本代表MF山口蛍(29)が存在感を際立たせている。

 ボール奪取能力の高い守備的MFのイメージが強いが、昨年6月に就任したトルステン・フィンク監督(52)からシュートスキルの高さなどを見込まれ、一列前で攻撃的な役割を担うことが増えた。2日のアウェー札幌戦でも右インサイドハーフで先発し、今季リーグ初得点を含む2ゴールの活躍で3―2の勝利を呼び込んだ。

 3試合ぶりの勝利と得点をチームにもたらし「もちろん2人(FWドウグラスとFW古橋亨梧)だけに(得点を)頼るのはよくない」と言いつつも「前で使われているけど、個人的にはボランチ(守備的MF)の選手なので、もっと攻撃の選手が点に絡んだりしないといけないと思う」と前線の選手の奮起を促した。

 こうした山口の起用法は元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(36)の役割軽減という側面もある。今季は過密日程で絶対的司令塔のフル稼働は不可能。出場時も攻撃の起点となるのはハッキリしているだけに、相手から厳しいチェックを受ける。山口のような実力者がイニエスタと横並びになれば、マークを分散できる利点が生まれる。

 指揮官は「いろんなことができる選手。裏に抜けるスピードもあり、ボールを収めることもできる。守るときは(布陣の)真ん中を閉めることもできる」と山口の攻守にわたる能力を高く評価。イニエスタを最大限に生かすためにも、スタミナ豊富な山口の働きがチームの勝敗を左右していきそうだ。