Jリーグが名古屋3人感染で初の試合中止 リーグ不成立もささやかれ始めた

2020年07月27日 11時00分

 Jリーグが非常事態に陥った。J1名古屋の選手、スタッフら計3人が新型コロナウイルスに感染したため、Jリーグは26日の広島―名古屋戦(Eスタ)の中止を発表した。コロナ禍で試合開催が取りやめとなったのは初めてのことで、一気に緊張感が高まっている。感染再拡大により「第2波」との指摘もある中で、リーグ不成立という“最悪のシナリオ”もささやかれだした。

 ついに恐れていたことが現実となった。名古屋はDF宮原和也(24)が24日に感染したことを受けてチーム全員にPCR検査を実施し、25日にMF渡辺柊斗(23)とスタッフ1人の陽性を確認。その上で新たに感染した2人について濃厚接触者の特定が試合開始までに間に合わないため、Jリーグは開催の見送りを決定した。

 緊急会見を開いたJリーグの村井満チェアマン(60)は「安全と言える状況ではない試合が行われる可能性があるので中止を決めた」と説明し「用心している選手が感染する。恐ろしさを再認識した」と危機感を口にした。国内では再び感染が拡大しており、今後も名古屋のようなケースが発生する不安は拭えない。

 西大宮病院院長でJ1鹿島のチームドクターを務める関純氏は、これから本格的な猛暑を迎える中、過密日程でJリーガーの感染リスクは高まると危惧する。
「運動能力の高い選手なら免疫力は高いが、疲れをため過ぎないようにしないといけない。そうなると夏場は(感染の)リスクも負うことになる」。さらに「これ以上、名古屋から感染者が出ずに中止が1試合で済めばいいが、これ以上(感染が)広がるようだと(中止が)1試合で済まなくなる。日本中に感染が広がっている状況を考えると、いくら注意していても違うチームから出てしまう可能性も…」と指摘した。しかも、名古屋のように濃厚接触者が特定できない事態となれば、中止となる試合が激増しかねないという。

 Jリーグはコロナ禍で約4か月の中断期間があったが、全日程の年内完了を目指して全体の75%以上、各クラブが50%以上の試合消化をリーグ成立の条件とした。一方で、リーグ不成立についても想定済みで順位決定や賞金、表彰なしを決めている。それだけに中止が相次げば、ノルマを満たせずに今季は「何もなかった」という最悪の事態になる可能性もある。

 もちろん、そうならないために「ガイドラインの修正なり、判断をもう少し丁寧に細かく詰めていく」(村井チェアマン)と対策を厳格化する方針だ。これについては、日本代表のチームドクターを務め、日本サッカー協会の医学委員長などを歴任した福林徹氏(74)は「JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)で毎試合前に選手とキャディーのPCR検査を実施しているように、Jリーグも毎試合、試合の前日に検査を実施すればいい」と話す。

 特に名古屋で感染が確認された3人は20日の検査では陰性だったものの、その後の検査で陽性が判明。感染拡大を防ぎながら試合を開催していくには、これまで2週間に1度だった検査の回数と実施日の見直しが必要になるという。検査にかかる費用や時間についても「例えば、試合に絡むメンバーだけにするなど対象を絞り込めばいい」とした。

 Jリーグも8月に予定していた観客動員増を見送るなど、他のプロスポーツ同様にコロナ禍に翻弄されてばかり。情勢は悪化するばかりで“通常営業”の先行きは、まだまだ見通せない。