引退・闘莉王 第2の人生は故郷ブラジルで実業家か

2019年12月02日 16時30分

闘莉王(中)は引退会見で中沢氏(左)と楢崎氏から花束を贈られた

 Jリーグ屈指の人気者の気になる今後は――。2010年南アフリカW杯のベスト16入りに貢献した元日本代表DF田中マルクス闘莉王(38=京都)が現役引退を発表した。J1浦和や名古屋でリーグ制覇を果たした日本のレジェンドには“第2の人生”で選手育成も期待される中、今後も日本サッカー界と関わっていくかは微妙な情勢。そこには“家庭の事情”が大きく影響している。

 ついに引退を決断した闘莉王は「少しでも心の炎が消えそうになったら引退しようと。去年の終わりごろに、それを感じて引退しないといけないな」と説明。ガッツあふれるプレーが代名詞だっただけに、気持ちの衰えを理由に挙げた。

 ブラジル出身の日系3世。1998年に渋谷幕張高(千葉)に留学するため来日し、2001年にJ1広島入りすると、03年には日本国籍を取得。04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場した。また、17年にはDF登録で初のJリーグ通算100得点(104得点)を達成。J屈指のスターだった。会見には元日本代表GK楢崎正剛氏(43)と同DF中沢佑二氏(41)が駆け付けた。楢崎氏は「日本のために力を尽くしてくれた。今までJリーグを見渡しても彼以上の存在はいなかった」と評した。

 引退後の初仕事は、森保ジャパンが臨む東アジアE―1選手権(10日開幕、韓国)を中継するフジテレビ系で試合解説を務める。その後は「ブラジルに帰って、たくさんビールを飲んで、たくさん肉を食って10キロくらい太ってみなさんに笑われる姿を見せたい」と話し、しばらくは生まれ故郷で過ごす予定という。

 今後は指導者として「第2の闘莉王」と呼べる攻守ともに優れた若手の育成も期待されるが「今後のことは何も決めていない」と引き続きサッカーに携わるかは不透明。そこには家族の存在がある。「両親の年の取り具合を見ると、妹に任せきりだなと罪悪感がある。まだ元気なうちに帰って22年間いなかったことをできる限り取り戻したい。今まで(選手を)辞めると言っても、お父さんは反対してきたけど、やっと帰ってこいと言ってくれた」

 父のパウロ隆二さんは、教師やレストラン経営のほか、弁護士資格を取得して事務所を開業するなど多角的に事業を展開。その一方で心臓の病を患うなど近年は高齢もあって、体調に不安を抱えている。そうした家族の事情もあるだけに、家業をサポートしたり、自身が手がける牧場経営も含めてブラジルで実業家として生きる道も視野に入っているわけだ。

 地球の反対側にある日本とブラジル。果たして闘将はどんな“セカンドキャリア”を歩み始めるのか。