Jリーグの大物助っ人たちに“異変”が相次いでいる。J1は4日までに10節を消化したが、鳴り物入りでやってきたスーパースターの成績が芳しくない。特にスペイン色を強めた神戸と鳥栖の惨状は予想外といえるもの。日本サッカーを世界にアピールするどころか、逆効果にもなりかねない状況に、イメージダウンを心配する声も上がり始めた。

 今季の注目度ナンバーワンは、三木谷浩史会長(54)の大号令のもと大物路線を突き進む神戸だった。元スペイン代表FWダビド・ビジャ(37)が加入して、開幕前は優勝候補にも挙げられたほど。だがフタを開けてみると、標榜する“バルセロナ化”には程遠く、三顧の礼で迎えたスペイン人指揮官のファン・マヌエル・リージョ前監督(53)が4月17日に退任する事態に発展した。

 するとくすぶっていた火種が表面化し、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(33)は主将を辞任して問題行動を連発。同20日の浦和戦でボールボーイにドイツ語で侮蔑的なスラングを浴びせる暴言騒動を起こした。さらに同28日の川崎戦の2日前に自身のSNS上で欠場を示唆する“情報漏えい”が波紋を呼び、3日間の謹慎後にチームに謝罪した。

 チームの要である元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(34)は筋肉系のトラブルで川崎戦後から離脱が続いており、32億円の年俸に見合う働きを見せられていない。チームは5連敗で13位に低迷。あまりのゴタゴタぶりに、ライバルのJクラブ関係者からは「神戸さんはいろいろ大変だね」といらぬ心配をされるほどの惨状だ。

 昨季途中に鳥栖へ加入した元スペイン代表FWフェルナンドトーレス(35)も散々だ。チームは最下位に低迷し、自身もいまだ無得点。前評判が高かったMFイサック・クエンカ(28)もなかなかチームにフィットせず、やはり鳴り物入りで招聘されたルイス・カレーラス監督(46)も5日に事実上の解任となった。スペイン勢が共倒れの格好で、チームに浮上の兆しは見られない。

「注目される大物選手が結果を出せないと、そういうリーグと見られる可能性もある」とは別のJクラブ関係者。世界的なスター選手が揃って不調の現状は、Jリーグのレベルの高さを示す一方で“助っ人がプレーしづらいリーグ”との風評被害が広まる危険も不安視されているのだ。

 まだシーズンの3分の1も終わっていない状況とはいえ、期待外れの空気が充満する大物助っ人たち。本来の輝きを取り戻し、今後のJリーグを盛り上げることができるか。