“天才少年”がFKゴールに意欲的だ。アウェーのG大阪戦(4日)に臨むJ1FC東京のMF久保建英(17)は、無敗で首位に立つチームの主力として圧巻のパフォーマンスを披露している。なかでも日々の練習を欠かさないセットプレーで正確無比なFKを繰り出すコツを語った。またFK弾を叩き込めば、得点だけにとどまらない大きな効果を生み出すことまで“計算”していた。

 久保は2日、リーグ戦今季初ゴールが期待されるG大阪戦を前に大きな刺激を受けた。この日、未明に行われた欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦でバルセロナ(スペイン)のアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(31)が決めた鮮やかなFK弾だ。

 今季急成長中の17歳は「ああいう遠くから強いキックを蹴れるのはすごいと思う」と絶賛。そのうえで「自分は、あそこまで強いボールを蹴れないので、もうちょっと近い位置からになってしまうので」とまだ“本家”には及ばないものの「チャンスがあれば(FKも)狙っていきたい」と力を込めた。

 技術力の高い久保はプレースキッカーとしても類いまれな才能を誇る。ルヴァンカップ鳥栖戦(4月10日、秩父宮)で決めた今季初ゴールも華麗な直接FK弾だった。「蹴るときは深呼吸して落ち着くことを心掛けている。(試合中は)アドレナリンも出ているので1回落ち着くのは、いつもやっている」とのルーティンがあるという。

 アドレナリンが出ていると、普段以上の力が出やすくなるため、練習通りのボールスピードや軌道を描けなくなる。経験を積んだプロでも試合中のメンタルをコントロールできないままFKを蹴ってミスすることも少なくないが、そこは日本サッカー界の将来を背負う逸材。技術面だけではなくメンタル面の調整も大人顔負けなのだ。

 そのうえで、FK弾を決めれば“副産物”が生まれるという。久保は「(自身が)ファウルで止められることも多くなってきているので、そういうの(ファウルで得られるFK)をしっかり決めれば(敵選手は)ファウルもあまりできなくなる」と説明。セットプレーを決められれば、相手はFKを与えないように慎重になり、ドリブル突破などがより効果的になることまで考えている。

 バルセロナの下部組織育ちの逸材は、ボールを扱う技術だけでなく、サッカーに対する高い思考レベルを持ち合わせていると言える。今後も久保の“計算力”がチームの快進撃を支えていくはずだ。