サッカー日本代表前監督のバヒド・ハリルホジッチ氏(65)が27日、都内の日本記者クラブで自身の解任に対する反論会見を開いたが、今回の解任劇について同氏は「2人の選手」が漏らした不満が原因となったことをほのめかした。

 選手とのコミュニケーション不足が解任理由だった点について「2月にベテランとコミュニケーションを取ったが、何も問題はなかった。誰とのコミュニケーションなのかわからない。教えてほしい」と訴えた。その時はMF長谷部誠(34=Eフランクフルト)、GK川島永嗣(35=メス)、DF吉田麻也(29=サウサンプトン)、DF長友佑都(31=ガラタサライ)と円滑なやりとりができたというが「なぜか3月(の欧州遠征)で信頼が弱まったようです」と首をひねった。

 予兆は昨年8月、オーストラリアを破ってW杯出場権を獲得した試合の直後に感じていた。「試合の後、2人の選手が試合に出られないことでがっかりしていた。その様子に私は悲しくなった」という。

 当時、ベンチ入りしながら出場機会がなかった選手は10人。ハリルホジッチ氏は明言こそしなかったものの、それまでの実績やその後の選出状況、さらにこの日の会見で名前が出なかった選手などを総合すると、FW本田圭佑(31=パチューカ)とMF香川真司(29=ドルトムント)が対象として浮かび上がる。

 3月の欧州遠征中には当時の技術委員長の西野監督から「不満を漏らしている選手が1人いる」と耳打ちされたことも明かした。香川は3月の遠征に招集されておらず、その「1人」がかねてハリル流に異議を唱えていた本田だったことは想像に難くない。

 一方、田嶋会長は選手の働きかけで解任を決断した経緯を改めて否定。27日夜、渡欧前の羽田空港で取材に応じ「1人、2人が反乱しているような見方は(選手に)失礼」と語った。何が真実かはともかく、今後も両者の言い分は平行線をたどりそうだ。