今月7日にサッカー日本代表監督を解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏(65)が27日、都内の日本記者クラブで会見を行い、無念の胸中を明かした。

 冒頭から落ち着いた表情で語りだし「こんな形で去ることになるとは考えていなかった」とうつむく場面もあった。日本代表をW杯出場に導いた実績を示し、昨年11月と今年3月のベルギー遠征では結果こそ出なかったが、6月のW杯に向けた準備として割り切っていたことも強調した。

 そんな中で田嶋幸三会長(60)から突然の解任通告を受け「人間として深く失望した」。選手とのコミュニケーション不足を理由に挙げられたというが、それまでそんなことがなかっただけに「私に対するリスペクトがなかったように感じた」と協会の対応に不満を示した。

 ハリルホジッチ氏は解任が決まった後にスタッフや選手たちからメッセージをもらったことを明かし、その一部を会見中に公開。「3年間、誰とも何の問題もなかった。特に選手とは何の問題もなかった」というだけに、解任理由についてはまさに晴天のへきれきだったようだ。

 ただ、予兆は昨年8月、オーストラリアを破ってW杯出場権を獲得した試合の直後に感じていた。「試合の後、2人の選手が試合に出れないことでがっかりしていた。その様子に私は悲しくなった」という。

 その後は選手たちとは密にコミュニケーションを取ってきたことを自負し、2月には欧州で主将のMF長谷部誠(34=Eフランクフルト)やGK川島永嗣(35=メス)、DF吉田麻也(29=サウサンプトン)、DF長友佑都(31=ガラタサライ)と直接会ってW杯で共に戦う態勢を確認してきた。だが3月の遠征後、当時の技術委員長でハリルホジッチ氏の後任となった西野朗日本代表監督(63)から「一人の選手があまり(精神的に)いい状態でない」と聞かされた。ハリルホジッチ氏は「私はわかっている。後で解決する」と修復にも自信を見せていた。だが、その後、田嶋会長から解任通告を受け「怒りが沸き立ってきた」。

 ふに落ちない点について「なぜ会長も西野さんも『チーム内に問題があるぞ』とか事前に言ってくれなかったのか。直接会った時にも何も言ってくれなかった」ということも指摘した。「一体誰とのコミュニケーション不足だったのか。どうしてなのか。私は答えが知りたい」と今も納得できていない。「私の知らないところでいろいろなことが起きている」と別の理由を推察するほどだった。

「私の得意とする『最後の詰め』の仕事をさせてもらえなかった」と残念がる一方で「私は日本の永遠のサポーターです。心が通っていると信じている。非常に心残りだけど、これからも頑張ってください」と締めた。1時間の予定だった会見は1時間半を超えた。ハリルホジッチ氏は「しゃべりすぎたかな」とつぶやいたが、まだまだ話し足りない様子も見せながら会見場を後にした。