天才少年への“包囲網”が着々と狭まっている。J1FC東京は18日、ルヴァンカップで横浜Mと2―2の引き分けに終わった。2点を先行しながらも後半に追いつかれて勝ち点3を逃した。「勝てなかったのは残念」と長谷川健太監督(52)もホームでの低調な結果に悔しさをにじませた。

 スペイン1部バルセロナ下部組織出身のFW久保建英(16)はフル出場したが、見せ場をつくれずにシュートゼロ。視察した東京五輪代表の森保一監督(49)も「どうなんですかね…。展開的に難しかったと思う」と微妙な言い回し。ルヴァン杯では3月14日の新潟戦でゴールするなど活躍を見せていたが、この日は全く仕事をさせてもらえなかった。

 まだ16歳だけに多くを求めるのは酷な一方でライバルチームが研究、対策を進めていることも見逃せない。この日、久保は試合途中からDF山田康太(18)とマッチアップするも、ことごとく止められた。山田とともに久保の対応にあたったDF金井貢史(28)が「今日は康太が1対1の場面で圧勝だった」とうなるほどだったが、同じ10代の若手がなぜ久保を完封できたのか。

 山田は「(自分からボールを奪いに)突っ込んじゃうからかわされるんです。(相手が)背を向けている時はガッツリいっていいし、前を向いている時はある程度の間を持っていけばいい」と語る。さらに徹底マークが進めば山田のような“久保キラー”が続々出現するだろう。天才少年はこの壁をどう乗り越えるか。