【ヨルダン・アンマン13日(日本時間14日)発】サッカー女子日本代表のなでしこジャパンが、8大会連続となるW杯出場を決めた。アジアカップ1次リーグB組の最終戦でオーストラリアと1―1のドロー。準決勝進出を決め、2019年フランスW杯出場権を獲得した。高倉麻子監督(49)の下では初めて世界大会へと進んだが、内容は課題だらけで、今後に向けて不安は尽きない。

 オーストラリアに序盤から立て続けにゴール前に攻め込まれ、防戦一方の展開を強いられた。それでもなんとか前半を0―0で折り返すと、徐々に日本がリズムをつかみ始める。そして後半18分、FW岩渕真奈(25=INAC神戸)からのパスに左サイドのMF長谷川唯(21=日テレ)が抜け出し、ゴール前へ入れたクロスをMF阪口夢穂(30=同)が左足で決めて待望の先制点を奪った。

 オーストラリアは終盤に足が止まり、なでしこは逃げ切りを図ったが、同41分にGK山下杏也加(22=同)が相手のシュート性のボールを取り損ねてこぼしたところを、FWカーに決められて同点に追いつかれた。

 この時点で韓国を含めた3チームが勝ち点、得失点差ともに並んだ。しかし日本とオーストラリアが得点数で上回っていたため、残り時間は両チームとも攻める意志を見せず、日本の守備陣がひたすらボールを回し続けて試合を終わらせた。

 8大会連続のW杯出場を辛くも決めたが、先行きは厳しいと言わざるを得ない。高倉監督は「我慢してよく耐えてくれた」と選手をたたえる一方で「引き分けは残念。まだ課題はある」と表情は晴れない。この日は少ないチャンスをものにしたが、終始相手に攻め込まれた上に最後は逃げ切りに失敗。パスミスを連発し、攻撃の連係も向上しておらず、岩渕ら期待の若手も韓国戦(11日)に続いて不発に終わった。

 主将のDF熊谷紗希(27=リヨン)が「今までと違うスピード、パワーといった能力を持った選手がいた」と振り返ったように、アジアの上位レベルになると苦戦を免れないのが実情だ。

 B組2位となったことで準決勝(17日=日本時間18日)の相手はA組1位で、急成長を見せる中国に。目標に掲げるアジア王者はもちろん、来年のW杯に向けても不安は隠せない。11年ドイツW杯で優勝し、15年カナダW杯でも準優勝したなでしこジャパンだが、16年リオ五輪出場を逃した。復権への道のりは険しそうだ。