ハリルジャパンは崩壊寸前――。日本サッカー協会で技術委員長を務めたJリーグの原博実副理事長(59)は5日、3月の欧州遠征でふがいない戦いを見せた日本代表の“異変”を指摘した。6月のロシアW杯に臨むチームは予想以上に深刻な状態のようだ。

 5日にJFAハウスで取材に応じた原副理事長は、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)で4日に川崎、柏が相次いで敗退したことを受けて「両チームとも波に乗り切れなかった。鹿島とC大阪には頑張ってもらいたい」と残る日本勢の奮闘に期待を寄せた。

 一方で、前回ブラジルW杯を技術委員長の立場で統率していた経験から、ロシアW杯を目前に控えたハリルジャパンの動向も気になる様子。「(試合後のコメントで)MF長谷部(誠=34、Eフランクフルト)があんなに奥歯に物のはさまったような言い方をするのは見たことがない。いつもはハッキリ物を言うからね。表情が曇っていた。チームがうまくいっていないのかな…」と代表でかつて共闘してきた主将の“らしくない”言動に、チームの危機を感じ取っていた。

 原副理事長が指摘する長谷部の異変は、チーム事情が深刻であることを物語っている。欧州遠征に参加した選手の一人はこう漏らしている。「今のまま(堅守速攻)では攻撃の選手も守備に追われてしまって負担が多くて大変。それでうまく攻撃の形がつくれない。この先、セットプレーくらいしか得点が取れるイメージがない」

 バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が推し進めるカウンター戦術により、日本の特長は消えて手詰まりとなり、チーム内に動揺が広がっているのだ。本番まで時間がない中で選手の間に充満するモヤモヤが、主将の長谷部のコメントにも表れているというわけだ。

 チーム内外で不安が広がるハリルジャパン。改めてその限界が浮き彫りになってきている。