【ベルギー・リエージュ27日(日本時間28日)発】日本代表の元エースが“復権”に失敗した。キリンチャレンジカップ・ウクライナ戦に臨んだ日本は、またもふがいないパフォーマンスで1―2と敗戦。ロシアW杯本番に向けて大きな不安を露呈し、ラストチャンスと言われる中で先発したFW本田圭佑(31=パチューカ)はインパクトを残せなかった。試合後はバヒド・ハリルホジッチ監督(65)の方針にも異論を唱えるなど、自身3度目のW杯出場に暗雲が漂っている。

 約6か月ぶりのスタメンだったが、代表での“定位置”の右サイドでアピールはできなかった。サイドで起点になろうと懸命にボールをキープするものの、チームの攻撃を遅らせるばかり。スピードと運動量が足りない場面も目立ち、チャンスをつくり出すこともできないまま後半19分にピッチを去った。

 本田は「個人的には満足できないですけど、負けた以上ね。ただ、正直もうちょっとやりたかったなというのはありますね」と悔しさをにじませた。その理由について「前半から(敵の)サイドバックを走らせていた部分があったから。サッカーは奥深くて、最初の布石が後半になって生きてくる場面での交代やったので個人的には悔しいですよね」と解説した。

 その上で「監督にもっと見てみたいと思わせられなかった自分に非があるのはわかってますけど」とも。昨夏にレベルの高い欧州を離れてメキシコリーグへ移籍。ようやく調子を取り戻して代表復帰。しかし先発の好機も生かせずにロシアW杯メンバー入りが遠のいたことは、十分に理解しているという。

 ただ、自身よりもチームの状態の方が気がかりのようだ。23日のマリ戦(1―1)でも結果が出せずにチームは空中分解寸前。そんな状況で迎えたウクライナ戦も力負けとW杯に向けて不安は尽きない。「対策としては(試合を)支配することが大事で、結果として守備もよくなると考えている。ただ、チームがそれ(支配率)を大事にしているかというと、明らかに違う」とハリルジャパンの戦術と方針に異論を唱えた。

 さらに選手個々が能力を発揮できていない現状について「個以外のものが、個を引き立たせるというのもありますよ。それができていないというのはあるでしょうね」と、選手の特長を引き出すような組織的な戦いができていないと指摘。つまりはハリルホジッチ監督の戦略こそが日本代表が低迷している原因であると言わんばかりだ。

 とはいえ、3度目のW杯出場を目指す本田は指揮官の評価を覆すようなパフォーマンスを見せられなかったのも事実。今後もクラブでアピールを続けるが、5月31日に発表されるW杯メンバー入りはますます厳しい状況になった。