ウクライナ戦へ崖っ縁のハリル ベテランと若手にズレ

2018年03月27日 16時30分

【ベルギー・リエージュ26日(日本時間27日)発】いよいよ崖っ縁に追い込まれた。キリンチャレンジカップのウクライナ戦(27日)に臨む日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(65)はふがいない現状を打破するためにチームが結束することを強く要求。しかし新旧代表メンバーの思惑は大きく食い違っており、足並みが揃う気配はない。指揮官の求心力の低下が著しい中、今回も低調な試合をすれば、去就問題が再浮上するのは間違いない状況だ。

 練習前のミーティングでハリルホジッチ監督の声が響き渡った。「団結しよう!」。選手に向かって何度も叫んだその姿は日本代表の危機的状況を示していた。

 格下のマリ戦(23日)は、大失態とも言える1―1のドロー劇。チーム内では指揮官の戦術や方針に対する異論、反論が続出した。結果がなかなか出ないことで、3か月後に控えるロシアW杯に向けても不穏な空気が充満。ウクライナ戦に向けた公式会見でも「これから我々はしっかりと一体感を持って進まないといけない。たくさんのスタッフ、選手がいる。団結していかないといけない。私たちも日本人のつもりで挑む。私のことも、そう扱ってほしい」。懇願するような言葉の数々は、危機感の裏返しとも取れる。

 昨秋のW杯出場権の獲得後、まったく好転しないチーム状況にFW本田圭佑(31=パチューカ)やDF長友佑都(31=ガラタサライ)ら一部選手は、堅守速攻をベースとするハリル戦術に固執することなく、試合展開に応じてスタイルを変えるなど“脱ハリル流”でチーム再構築を図る構えを見せている。とはいえ、改善策について選手間でも微妙な温度差があるのは事実だ。

 FW宇佐美貴史(25=デュッセルドルフ)は「全員思っていることは代表チームとして勝ちたい」とした上で「僕みたいに(W杯を)経験していない選手もいる。いろんな思い、気持ちを持っている選手が今いる。経験をしている選手が、経験していない選手に対して、どういう感情を持っているか分からないけど、まあ…」と悩ましい状況に複雑な表情を浮かべた。

 チームを再建し、W杯で勝つために全力を尽くすことに一切の異論はない。だが、約9か月ぶりの代表選出となった宇佐美をはじめ若手選手にとっては、今回がW杯メンバー入りのラストチャンス。指揮官の求めるサッカーで自己アピールしたいとの意向も少なからずある。先ばかりを見据えるベテラン組の主張とズレがあるのも確かだ。

 なかなかチームの足並みを揃えるのは難しい現状。もちろん、その原因はハリルホジッチ監督の指導力のなさにある。ここまで日本代表にマッチした戦い方やビジョンを示せないままチームの地盤沈下を食い止められていない。再びふがいない戦いをすれば、各方面から指揮官の去就問題がクローズアップされるのは間違いない。

 ウクライナ戦は、今後の日本代表の行方を左右するターニングポイントになるかもしれない。