東京五輪サッカー監督・森保一氏がめざす「日本人らしさ」、影響受けた「3人の師匠」

2018年03月10日 11時02分

代表ユニホームに思い入れがある森保監督(右)と武田氏

【武田修宏氏&森保一東京五輪サッカー監督スペシャル対談:後編】森保ジャパンはどんなスタイルのチームになるのか。2020年東京五輪サッカー男子代表を率いる森保一監督(49)と元日本代表FW武田修宏氏(50=本紙評論家)のスペシャル対談の後編。J1広島時代に3度のリーグ制覇を果たした名将は、影響を受けた指導者と、2年後の本番に向けて日本人の特長を生かしたチームづくりに取り組んでいく方針を明かした。

 武田氏:ところで現役時代の俺をどんなタイプの選手って見ていた?

 森保監督:点取り屋ですね。(静岡・清水東)高校時代からスター選手でアイドルでした。ヴェルディ時代(現J2東京V)もゴールへの嗅覚というか、特別なものを持っているから点を取れるという印象ですね。

 武田氏:森保監督(の選手時代)は黒子タイプかな。常にバランスを考え、危ない場面では体を張る冷静なプレーヤー。監督になってからも堅実なイメージは変わらないけど、五輪代表のスタイルはどう? 広島のようにパスをつないでスペースを突くのがベースかな。

 森保監督:組織力を生かすチームの組み立ては変わりません。ただ、レベルの高く強い個があって強い組織ができるので、個のレベルを上げるのは忘れてはいけないと思います。もちろん選手には個性があるのでチームの戦い方の大枠はあっても、その中で個性を生かしてほしいですね。

 武田氏:クラブと代表ではチームや選手のまとめ方や指導法などの違いは当然あるよね。

 森保監督:代表は限られた時間でどうチームをつくるか。そこは工夫しないといけません。とはいえ、ケガにつながるので練習の量は増やせない。基本は練習とミーティングで落とし込んで、コミュニケーションを図るようにしています。

 武田氏:影響を受けた指導者っている?

 森保監督:広島の選手時代で言えば(スチュワート)バクスター監督(64)。役割がはっきりしていて連係、連動で戦うスタイルは影響を受けましたし(日本代表のハンス)オフト監督(70)の規律や楽しむという考えは勉強になりました。(ミハイロ)ペトロビッチさん(60=札幌監督)は選手に攻撃の絵を持たせていました。そこには到底及びませんけど、生かしていきたいですね。

 武田氏:ペトロビッチさんは「日本人は日本人の良さにもっと自信を持っていい」と話していたけど、日本人の良さをどう取り入れていく?

 森保監督:連係、連動し合う、支え合う、協力し合うのが日本人の長所。身体的な強さを求めたら、トップの国に追いつけませんが、俊敏性も含めて日本人の良さを出せば世界でも戦えます。しかも我慢強くやり続けられる能力もあるので、メンタル的にも相手を上回っていけるのでは。

 武田氏:それと気になっているのは、勝つためにどう点を取るのか。

 森保監督:そこは武田さんに聞きたいです。教えてくださいよ(笑い)。連係、連動で崩していくのは日本人がやらないといけないところ。究極を言えば、個の力で(ゴールを)こじ開ける選手がいれば勝つ確率は高くなります。いい選手を発掘するとか、そこはもっと考えていかないといけないですね。

 武田氏:ポイントになるね。組織的でいいサッカーをしても点を入れないと勝てないから。

 森保監督:だから相手が強くても我慢強くしぶといサッカーをして勝ち点1を取るのが大事になってきます。守備をしつつも、相手が嫌がるような攻撃を続けて少ないチャンスで点を取っていけるようにしたいですね。

 武田氏:ここからが五輪へのスタート。試合に負けても「森保ジャパンはこれからですよ!」と言っておくわ。

 森保監督:そういうときは厳しめの意見でもいいですよ(笑い)。

☆もりやす・はじめ=1968年8月23日生まれ。長崎県出身。87年に長崎日大高からマツダ(現J1広島)に入団し、主に守備的MFとして活躍した。日本代表は92年に初選出。“ドーハの悲劇”と呼ばれた93年の米国W杯アジア最終予選を戦った。2004年に引退し、指導者に転身。12年に広島監督に就任すると、17年までに3度のリーグ制覇を果たした。昨年10月に東京五輪に臨むサッカー男子代表監督に就任。174センチ、68キロ。