“柏のワンダーボーイ”がW杯メンバー入りへまた一歩前進した。6日に行われたアジアチャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ第3戦でE組のJ1柏は傑志(香港)に1―0で勝ち、初白星を挙げた。

 ヒーローは日本代表FW伊東純也(24)。スコアレスの後半12分に投入されると、9分後に決勝ゴール。貫禄を見せつける一発で、ACLでの逆襲のノロシを上げた。出場後すぐに決勝弾を決める千両役者ぶりに、視察した日本代表の手倉森誠コーチ(50)も「あのへんで取るのは『持っている』んじゃないの。スピードという持ち味は出していたね」と高く評価した。

 1得点2アシストを記録した1月30日のACLプレーオフのムアントン(タイ)戦に続き、アジアの舞台で大活躍。その決定力と合わせて大きな武器となっているのが、どんな場面、役割でも仕事を完遂する勝負強さだ。

 今季は不動のエースとしてJリーグとACLの全試合でスタメンだったが、この日は疲労も考慮されて途中出場。「最初から出たかったけど」と本人が語ったように不慣れな場面も、きっちり結果を出した。ハリルジャパンではFW浅野拓磨(23=シュツットガルト)に代わるジョーカーとしての役割も期待されており、W杯本番での予行演習もバッチリだ。

 さらにこんな“資質”も。下平隆宏監督(46)が「彼はサボるクセがある」と指摘するように、ピッチ上でのオンとオフの切り替えがうまい。勝負どころを見極めて決定的な動きを見せるのは、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(30)に象徴されるように世界的ストライカーの重要な能力だ。

 3月の日本代表の欧州遠征メンバー入りを引き寄せる活躍だったが「そこまでアピールにはなっていない」とどこまでも貪欲。日本の救世主となる力は十分にある。