なでしこ復活へのビジョンとは――。2019年フランス女子W杯アジア予選を兼ねたアジアカップ(4月、ヨルダン)に臨むなでしこジャパンは、19日まで都内で強化合宿を行った。16年リオデジャネイロ五輪アジア予選で惨敗し、高倉麻子監督(49)がチーム再建に取り組む中、20年東京五輪に向けてイレブンは何を思うのか。11年ドイツ女子W杯優勝メンバーのDF鮫島彩(30=INAC神戸)を直撃した。

 ――なでしこジャパン候補合宿を振り返って

 鮫島 午後の練習は全て筋トレに充て、しかも専門家の方のもとでできる機会だったので、徹底的に見直した。今回はジャンプの測定などをして、自分たちの体力が今どの程度の位置にあるのかを確認した。これから行うメニューに生かしていきたい。

 ――フィジカルの強化が急務とされる

 鮫島 もうちょっとフィジカル面、パワー面で戦える体にしないと。他競技と比べても自分たちがまだまだ足りないということを認識できた。欧米とやったときに自分たちはまだ(競り合いで)負ける場面が多い。筋トレをする際のフォームも直すべきところがある。

 ――昨年末の東アジアE―1選手権で北朝鮮に完敗。優勝を逃した

 鮫島:大会時のデータを見てみたら、パスの本数はすごく多かったけど結果的に負けている。パスの本数が多くても、相手のペナルティーエリアに侵入できるような危険なパスを入れられていない。今後はパス回しができた上で、そこからどうやって縦に良いボールを入れるかという工夫が重要になってくる。

 ――本職ではないセンターバックも務めた

 鮫島:ビルドアップの重要性をすごく感じた。どれだけ相手をはがして前に出せるかで、攻撃の選手も変わってくる。もっとチームとして意識を変えていかないと。

 ――世代交代が進んでベテランの域に入った

 鮫島:そこはあまり意識せず、ピッチ内では自分のやるべきプレーをやるだけ。実力以上のことはできないので。ただ練習中の雰囲気とかそういったものは(年齢が)上の人が率先してやっていくのはすごく重要だと思う。それは私より上の先輩を見て感じてきたことなので。これから(MF阪口)夢穂(30=日テレ)やDF熊谷(紗希=27、リヨン)と一緒にそういった雰囲気づくりをやっていきたい。

 ――来年のフランスW杯、そして東京五輪までの道筋をどう描く

 鮫島:そこは本当に今、手探り状態と思う。メンバーも毎回固まっているわけではないし、ポジションも違う。例えば日本にとって大事なサイドバックとサイドハーフの組み合わせも毎試合違う。それをどうプラスに持っていけるか。

 ――選手にとっても難しい状況だ

 鮫島:国際大会は過密日程のときもあるし、毎試合同じメンバーでやれるわけでもない。(現状に)難しさはあるけど成長していけたら、そのぶん大きな大会になっても戦えるチームになる。ただ、時間が必要だと思う。自分たちがどうすればいいんだろうとか悩みながらやっているので。本当に時間が欲しい。

 ――チームが成長している手応えはあるか

 鮫島:手応えよりも課題がこんなにあるのかというくらいで…。その課題も、どこのレベルの課題かにもよる。自分たちのイージーミスによる失点とかそういうレベルでは話にならない。課題として何が出るかというレベルも、もう一段階上げていきたい。

☆さめしま・あや 1987年6月16日生まれ。栃木県出身。宮城・常盤木学園高から東京電力マリーゼに入団し、2008年になでしこジャパンに初選出された。不動の左サイドバックとして11年ドイツW杯制覇に尽力。12年ロンドン五輪銀メダルと15年カナダW杯準優勝にも主力として貢献した。米国、フランスでプレーし、海外経験も豊富。美女プレーヤーとしても高い人気を誇る。163センチ。