アジア王者の肩書は赤い悪魔のオフも“勝ち組”に変えた。J1浦和は11日、埼玉スタジアムで今季の新体制発表会を開催。昨季はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝を果たしたものの、リーグ戦は7位と低迷したとあって積極的な補強に動いたが、クラブ幹部は意外な成果にニンマリだ。

 崩壊した守備陣を立て直すべく、リオデジャネイロ五輪代表DF岩波拓也(23)を神戸から獲得。攻撃陣には、昨季柏でリーグ戦で9得点を挙げてブレークしたMF武富孝介(27)が加入したほか、湘南に期限付き移籍していた元日本代表MF山田直輝(27)も復帰した。

 岩波や武富は他クラブと激しい争奪戦となったが、見事に勝利。山田にも湘南への残留を翻意させ、浦和にとっては満点とも言える補強となった。山道守彦強化本部長(54)が「だいたい浦和が獲得を目指す選手は最後に逃げられちゃうというのが多かった」と語るように近年の浦和は補強で辛酸をなめるケースが目立ったが、その流れを覆した。

 なぜ今年はうまくいったのか。岩波は「代表に入りたい。(代表の)監督やスタッフもレッズの試合にはたくさん来ると思うのでアピールしたい」と話し、山田も「このチームで試合に出られれば日本代表も近づく」と口にしたように、キーワードは「日本代表」だ。

 昨年11月の欧州遠征、浦和からはクラブ別で最多となる5選手が選出された。さらにACL制覇で再び脚光を浴びた“浦和ブランド”が代表を見据える有力選手の琴線に触れた。「オフで勝てない」というレッテルをはがした浦和は昨季以上の輝きを見せられそうだ。