ロシアW杯を前に“ハリルの秘蔵っ子”の胸中は――。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(65)が昨年5月に「秘密兵器」として大抜てきしたMF加藤恒平(28=ベロエ・スタラザゴラ)が本紙の独占インタビューに応じ、代表復帰への思いや今後の去就について激白。W杯1次リーグで日本が入ったH組で最強の敵とされるポーランドについて、かつて同国リーグでプレーした経験から独自の攻略法も明かした。

 ――まずは今季前半戦を振り返って

 加藤:ブルガリアでは20試合のうち2試合の出場停止があったけど、15試合はスタメンで出られた。代表での活動を通じて、自分の立ち位置、やるべきことが明確になった。課題をチームで克服してもっと上のレベルになるよう取り組んできた。

 ――昨年5月に代表初選出され「サプライズ」と注目を集めた

 加藤:選手みんなからすごく刺激を受けた。代表だからといって王様みたいな人はいないし、すごくフラットな対応なので助けられた。言いたいことも言えるし、すんなり順応できた。プレーの面では、攻撃も守備もまだまだ足りない。自分の特長の守備の部分で、もう少し意図を持って守りたい。攻撃の起点になるような細かい動き方を追求していきたい。

 ――ハリルホジッチ監督の印象は

 加藤:決まりごとが多くて意図を持って選手と接している。どういうサッカーをやりたいのか分かりやすかった。「レベルの高いところでやり続けなきゃいけない」と言われて、もうワンランク上にいかないと代表ではやれないと実感している。

 ――ブルガリアでの生活はしんどくないか

 加藤:小さな町で今までは僕一人だったけど、バレエ団やオーケストラに何人か日本の方が入ってきた。何回か食事に行ったし、今まで生活した町には日本人がいなかったのでホッとする。基本は自炊で、しょうが焼きを作ることが多い。玄米を炊くけど、ご飯に合うので。しょうが焼きに関しては自信がある。失敗しないので(笑い)。

 ――W杯1次リーグで日本と同組のポーランドで以前プレーしていた

 加藤:フィジカルが強くてカウンター主体のチームが多い。代表級のメンバーだと、MFバルトシュ・カプストゥカ(21=フライブルク)やDFミハウ・パズダン(30=レギア・ワルシャワ)とは対戦したことがある。全体的にはやはりパワーが前面に出ている印象。

 ――日本はどう戦えばいいのか

 加藤:そこまでポゼッションをする国柄ではないので、カウンターでくると思う。そこにFWロベルト・レバンドフスキ(29=バイエルン・ミュンヘン)の一発がある。前線からプレスをしても彼から目を離してはいけない。

 ――日本はレバンドフスキを封じ込めるか

 加藤:できると思う。DF吉田麻也さん(29=サウサンプトン)は常にイングランドでやっているし、日本には欧州トップリーグでプレーする選手が何人もいる。心配ないと思う。あとは日本の良さである組織で守る。2人で協力して止めにいくことも必要だ。

 ――そうした対策を施せば日本は勝てるか

 加藤:チャンスはあると思う。同時に、難しい組でもあると思う。明らかに格上の国がいたほうが対策はしやすかったかもしれない。

 ――今後の去就は

 加藤:チャンスがあればもうワンランク、ステップアップしたい。ただ、今は“待ち”の状態。将来的には5大リーグでやりたいし、特にスペインはチャンスがあれば行きたい。あとは欧州チャンピオンズリーグに出ることが大きな目標。小さな国からでも出ているし、そういうチームも選択肢として考えてはいる。

 ――最後にロシアW杯に向けて意気込みを

 加藤:3月の欧州遠征に呼ばれたい強い思いはある。監督はデュエルを常に気にしていて、そこは僕の特長だと思う。カウンターの起点になるボールの取り方ができる選手が強いチームには必ずいるし、例えば今はMFカゼミロ(25=レアル・マドリード)を参考にしている。前回の招集時は悔しい思いのほうが強かったし、次は試合で自分を表現する場をもらいたい。そのためにクラブで目の前の試合や練習で100%でやり続けるしかない。

 ☆かとう・こうへい 1989年6月14日生まれ。和歌山県出身。千葉U―18から立命館大に進学し、大学3年時にアルゼンチンへ留学。帰国後の2012年にJ2町田に入団した。同年限りで退団後、13年8月にモンテネグロ1部ルダル・プリェブリャへ移籍。2季目にはベストイレブンに選出される活躍でチームを優勝へと導いた。以後、ポーランド1部ポドベスキジェ・ビェルスコビャワを経て、現在はブルガリア1部ベロエ・スタラザゴラに在籍。欧州各国リーグでの経験を高く評価されて17年5月に日本代表に初選出された。173センチ、70キロ。