ハリルジャパンに香川が逆転復帰も

2017年12月12日 16時30分

練習中、黙々とランニングをするハリルホジッチ監督

 ハリルジャパンで窮地に立たされているFW香川真司(28=ドルトムント)に“新境地”で逆転復帰の目が出てきた。来年6月のロシアW杯に向けてサバイバルが続く日本代表だが、ここへきて懸案事項となりつつあるのが左FW問題だ。主力となる選手に不安が続出し、国内組も現在開催中の東アジアE―1選手権でインパクト不足。欧州最高峰の舞台で実現した左FWへのコンバートが香川に幸運をもたらすかもしれない。

 これまで日本代表で長らく最激戦区だった左サイド戦線に異変が起きている。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)がアジア最終予選で重用してきたFW原口元気(26=ヘルタ)はクラブで出場機会を失っており、今季好スタートを切ったFW武藤嘉紀(25=マインツ)も、背中の痛みを発症して直近3試合で欠場。ドイツ2部でプレーするFW宇佐美貴史(25=デュッセルドルフ)もここ数試合で出場時間が減っており、左FW枠の欧州組でまともにプレーしているのはFW乾貴士(29=エイバル)だけだ。

 この状況にハリルホジッチ監督は「海外で試合に出続けている選手が少ない。フィジカルコンディションが心配だ」と嘆き、E―1東アジア選手権の国内組に期待を寄せた。だが9日の北朝鮮戦に左サイドで出場したFW倉田秋(29=G大阪)とFW阿部浩之(28=川崎)は低調なパフォーマンスで、レギュラー争いに加わるのは厳しい状況。そこで白羽の矢を立てられそうなのが“元10番”だ。

 ハリルジャパンではインサイドハーフやトップ下などで起用されてきたが精彩を欠き、11月の欧州遠征ではついに落選。W杯メンバー入りに黄信号がともった。クラブでアピールしたくても、ケガ人続出のチームは低迷から抜け出せず、負のスパイラルに陥っていた。

 だが、そんなどん底の状態が香川にはプラスに働き始めた。ケガ人が多いため、多くのポジションで出場機会が増加。6日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグのレアル・マドリード戦では3トップの左FWとして先発し、欧州王者を相手に奮闘した。

 ドイツ誌「キッカー」がチーム2位タイの評価を与えたのをはじめ、地元紙は揃って高評価。ハリルホジッチ監督は欧州で目立ったプレーを見せると飛びつく傾向が強いだけに、ビッグクラブ相手に左FWとしての才能を見せた香川を代表でもコンバートし、復帰させる流れも見えてきた。

 香川にとって今回のコンバートは、最悪に近いチーム状態での“偶然の産物”。それでも欧州最高峰の舞台でハリルホジッチ監督が求める「縦に速い攻撃」を実践したことは格好のアピールとなった。

 メンバー外だった11月の欧州遠征時も代表の試合を訪れてスタッフと意見交換。日本サッカー協会の西野朗技術委員長(62)が「代表に対する強い意識がある」と話したように、復帰への思いは並々ならぬものがある。新たな戦場を得た香川にはまだロシアへの道がつながっている。