【前園真聖 ゾノの焦点!】“ビッグ3”は日本代表に復帰できるのか。ロシアW杯(来年6月14日=日本時間15日開幕)の組み合わせが決まり、日本は1次リーグH組でコロンビア(19日)、セネガル(24日=同25日)、ポーランド(28日)と対戦する。本番に向けて代表落選中のFW本田圭佑(31=パチューカ)、FW岡崎慎司(31=レスター)、MF香川真司(28=ドルトムント)の処遇が注目される中、元日本代表MF前園真聖氏(44=本紙評論家)の見解とは――。

 今回の抽選で日本は「死の組」こそ回避しましたが、同組となった3か国も決して簡単な相手ではありません。いずれも世界トップで活躍している選手がいますし、世界一流国とも遜色のない強敵ばかりです。

 W杯本番まで約6か月。ハリルジャパンが本番前にベストメンバーを集めて強化できるのは3試合しかありません。大幅な戦術変更が難しい中、これまでの戦い方の精度を高め、細部の変化をつけるしかないでしょう。しかも相手との力関係から押し込まれる時間が長くなることを想定した対策が欠かせません。

 今後は、対戦国を研究し、相手に応じた戦い方をどう構築していくのか。最後はバヒド・ハリルホジッチ監督(65)の判断次第ですが、私は本田、岡崎、香川の3人を日本代表に復帰させた方が、チームの戦い方の幅が広がり、1次リーグ突破の可能性が高くなると考えています。

 その理由の一つは、11月に日本代表が1―3で完敗したブラジル戦にあります。日本は前線からプレスをかけたものの効果なく、圧倒的に攻め込まれました。ブラジルに匹敵するような高い個人技を持つ選手が多いコロンビアやセネガルと対戦する際には、自陣深くまで引いて守ることが最善策となります。

 しかし、日本が自陣でボールを奪っても相手ゴールまでの距離は遠くなり、カウンターを狙うにもパス1本というわけにはいきません。そこでつなぎ役や起点になれる選手が必要になるわけですが、本田と香川はまさに適任と言えます。加えて少ない好機でゴールを奪うには岡崎のように決定力のあるFWが欠かせないでしょう。

 あくまで一つの例ですが、レギュラーでなくとも3人をベンチに入れた方がさまざまな場面に対応できます。特に3人とも経験豊富で試合中も冷静な判断を下せます。ボールを保持できるのでゲームを落ち着かせることも可能。相手に対しても脅威を与えられる選手で「ここぞ」という場面では頼れる存在なのです。

 ただ、3人の復帰には条件が付きます。W杯までにクラブでコンスタントに試合出場した上で活躍することです。ハリルホジッチ監督も体調面などから「試合に出なければならない」と要求しています。代表に戻るためには過去の実績だけではなく現在のパフォーマンスで周囲を納得させなければなりません。

 日本はまず戦い方を定めた上で、適応できる好調な選手をW杯メンバーに選出すれば決勝トーナメント進出が見えてくるでしょう。