“反トランプ”がついにサッカー界へも広がった。ドイツ1部のヘルタは14日に行われたシャルケ戦のキックオフ前に、日本代表FW原口元気(26)を含む先発11人が腕を組んで片ヒザをつき、パル・ダルダイ監督(41)らチーム関係者全員も同様の行動に出た。

 その間、スタジアムには「ヘルタ・ベルリンは多様性を支持し、暴力に反対する。我々は米国のアスリートが行っている抗議活動に加わり、差別に立ち向かうべくヒザを立てる」とのアナウンスが流れた。

 片ヒザをつくパフォーマンスは米ナショナルフットボールリーグ(NFL)のコリン・キャパニック(29)が、人種差別を容認する発言を繰り返しているドナルド・トランプ米大統領(71)に対する抗議の意味を表すため始めたもの。米国内では他のプロスポーツはもちろんアマチュア競技にも広がりを見せ、賛否両論が渦巻く社会問題となっている。

 8日のドイツ紙「ビルト」では元ドイツ代表で昨年まで米国代表監督を務めたユルゲン・クリンスマン氏(53)が、トランプ政権が誕生したことで居住する米国での日常生活が不安定になったとの見解を示したが、ヘルタに所属する息子のU―20米国代表GKジョナサン・クリンスマン(20)が父に同調。今回の行動を主導したとの見方も出ている。

 トランプ大統領に反対する動きが米国から海を渡り、欧州にまで拡大したことは世界中に衝撃を与えている。9月に行われた米アラバマ州での演説中にトランプ大統領は「国歌斉唱中にヒザをつく選手は解雇すべきだ!」と一連の抗議活動に激怒しており、サッカー選手にも矛先を向ける可能性が指摘されている。今後はスポーツ界との溝がますます深まりそうだ。