日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)がナーバスになっている。キリンチャレンジカップ(6日・ニュージーランド戦=豊田、10日・ハイチ戦=日産)に臨むサッカー日本代表は3日、全メンバーが集合し、軽めの調整を行った。そんななか、指揮官はイレブンに対して「W杯まで全勝」を指示したという。その裏にはロシア切符をつかみ取りながらも、まったく高まらない自身の評価に対する反発があった――。

 この日、FW大迫勇也(27=ケルン)やDF酒井宏樹(27=マルセイユ)らがチームに合流し、ようやく招集した24人が集結。ハリルホジッチ監督は練習前、恒例となったグラウンド上でのミーティングを約10分間、実施した。DF長友佑都(31=インテル)によれば「監督は『これから(選手への)要求は高くなる。もうW杯まで1試合も負けられないし、良い内容で良い勝ち方をするしかない!』と言っていた」。

 ロシアW杯に向けてイレブンに発奮を求めた格好だが、この発言に至った理由として指揮官は「外では相手どうこう言う人たちがいるから」と付け加えたという。今回の相手はニュージーランドとハイチ。格下との対戦にサッカー評論家や解説者から「意味があるのか」などと疑問の声が出ていることに反発したのだ。

 9月28日のメンバー発表会見でも、自らが推し進めるカウンター戦術を本紙評論家の武田修宏氏(50)をはじめとしたサッカー関係者が問題視していることに“抗議”。「ポゼッションがすべてではない」と訴えたが、これも自身の評価が高まらない現状にイラ立ちを隠せないからだ。

 さらに、根底にあるのは「私の判断が大多数を納得させていないことがあるかもしれない。もしかしたら(日本サッカー)協会内でもそうかもしれない」との思いだ。W杯まで続投の方針が決まりながらも“反ハリルホジッチ派”がいることに大きな不満を持っている。このため指揮官は自らの功績と実力を世間に証明しようと結果を出すことにこだわり、あえて「W杯まで全勝」という高い目標をイレブンに求めたようだ。

 もちろん勝負に徹することは日の丸を背負う上で大事。一方で国際親善試合は本大会に向けた貴重な強化の場でもある。普段以上にナーバスな状態にあるハリルホジッチ監督が、自らの名声のために“ガチ采配”を振るえば、本筋の強化プランにも影響が出かねないが、果たして…。