本当に大会として成立するのか。12月8日から予定されている「東アジアE―1選手権(旧・東アジア杯)」(男子=味スタ、女子=フクアリ)の開催が不透明な状況だ。最大の懸念は、核実験やミサイル問題で日本と緊張関係にある北朝鮮の参加。主催の東アジア連盟(EAFF)は予定通り行うことを強調したが、さらなる国際問題への発展も予想され、不安を拭いきれない状況となっている。

 25日に行われた大会概要発表会見でEAFFの田嶋幸三会長(59=日本サッカー協会会長)は「4チーム(日本、韓国、北朝鮮、中国)でやることに変更はない。予定通り進めている」と改めて明言した。すでにEAFFは、22日に行われた理事会でもこの4か国での開催を確認。北朝鮮情勢の悪化はあくまで政治の話とし、サッカーに政治を持ち込まない国際サッカー連盟(FIFA)の理念のもと、粛々と準備を進めていく考えだ。

 とはいえ、北朝鮮問題はもはや日本だけの懸念材料ではない。金正恩朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ米大統領(71)の“ののしり合い”はエスカレートし、北朝鮮側は太平洋上での水爆実験の可能性まで言及してきた。日本の上空を核弾頭を搭載したミサイルが飛ぶことになれば、大会の開催どころではなくなる。北朝鮮チームの入国を許さない考えが広まることや抗議活動も活発になることも考えられる。

 最近では、昨年2~3月に行われた女子サッカーのリオ五輪最終予選でも北朝鮮チームは来日している。当時は、日本政府が核実験やミサイル発射を受けて北朝鮮国籍者の入国を原則禁止する独自制裁を科していたにもかかわらず、特例で入国を認められた。だが今回は、昨年よりも状況は悪化している。日本協会関係者は「そうなると、この問題は我々の手から離れる。政治的判断に委ねるしかない」と話し、チームが入国できなくなる可能性も示唆した。

 北朝鮮と関係が悪化しつつあるのは日本だけではない。同大会に出場する韓国と中国も北朝鮮とは緊張関係にあり、日本―北朝鮮戦以外の場面でも不測の事態が起こりかねない。それを想定した警備体制の強化など、新たな対応策を求められるのは必至。最悪、北朝鮮関係の悪化によって韓国や中国が出場自体をボイコットすることも想定される。

 名称を変更して新たな船出を切ることになった大会だが、降りかかる問題は簡単に解決できるものではない。東アジア最強決定戦は混迷の度合いを強めている。