日本代表MF柴崎岳(25=ヘタフェ)が16日に行われたスペインリーグ、ホームでのバルセロナ戦でゴールを決めたものの、左足を負傷して約1か月半の戦線離脱の見通しとなった。日本代表の10月シリーズ参戦は事実上消滅。新たな攻撃の軸として貴重なテストの場を失ったハリルジャパンにとっては痛恨だが、それ以上にやっかいな問題が噴出しそうな雲行きになっている。

 スター軍団のバルセロナを相手に豪快なボレー弾を決めて世界を驚かせた柴崎だが、その歓喜は後半9分、絶望に変わった。相手との接触プレーでピッチに座り込み、そのまま交代。ゴールを奪った衝撃よりも、状態が心配されていた。

 ヘタフェのアンヘル・トーレス会長は18日、地元ラジオ局「オンダ・セロ」の取材に応じ、柴崎の故障について言及。「ガクは1か月半ほど離脱する。バルセロナのある選手に足を踏まれたからだ。早く復帰できることを願っている」と語った。ケガの詳細には触れなかったが、交代時には左足甲を痛がるそぶりを見せており、軽症ではないことが明らかになった。

 柴崎のケガは、今季1部に再昇格したヘタフェはもちろん、日本代表にとっても大ダメージだ。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は柴崎の能力を非常に高く評価しており、来年のロシアW杯に向けて“重点強化選手”に位置付けている。10月のニュージーランド戦(6日、豊田)とハイチ戦(10日、日産)は、まだ現チームで出場機会の少ない柴崎をテストする格好の舞台となるはずだっただけに、指揮官にとっては計算が狂った形だ。

 柴崎の離脱はさらなる波紋を広げる危険性もある。ハリルホジッチ監督は故障者の治療法や復帰時期に関してクラブ側にクレームをつけることがある。以前、故障を抱える選手を代表に供出した際に練習方針の取り決めをあっさりほごにされたJクラブ関係者が「言ったことを守らない。本当にめちゃくちゃ」と憤ったほどだ。

 今回の柴崎も代表にとって重要な戦力のため、ハリル流の“口出し”は十分に考えられる。これまで協会がコネクションのあるクラブならば指揮官の誤解を招きやすい言動のフォローや関係修復も可能だが、ヘタフェはこれまで日本代表との関わりがなかったため「これからしっかり関係を築いていかないといけない」(協会関係者)というクラブ。そんな矢先にハリルホジッチ監督がトラブルを引き起こせば、今後の関係構築に大きな影を落としかねない。

 スペイン2強からゴールを奪う快挙を成し遂げた柴崎のためにも、日本代表としては慎重な外交が求められる。