日本サッカー界最多となる4度のW杯を経験した元日本代表GK川口能活(42=J3相模原)が、6大会連続W杯出場を決めた後輩たちへ熱いエールを送った。若手の台頭を歓迎し、さらなる世代交代の推進を求める一方で、不要論が出ているFW本田圭佑(31=パチューカ)らかつての主力に猛ゲキ。GKの新星登場の期待や自身の代表への思いも激白した。

 川口にとって、2―0で快勝してW杯本戦行きを決めたロシアW杯アジア最終予選オーストラリア戦(8月31日、埼玉)は“予想外”の連続だった。

 川口:大一番だから経験のある選手たちを起用すると思ったけど、賭けに出てFW浅野(拓磨=22、シュツットガルト)とMF井手口(陽介=21、G大阪)という新戦力がゴールを決めて、しっかり目標を達成してくれた。今後に向けて大きな収穫になった。

 これまで日本代表ではなかなか世代交代が進まなかった。だが、川口は自身が世代交代の旗印となってチームを活性化した自負がある。今回の予選で世代交代が急速に進みそうな状況だが、その動きがさらに加速していくことを期待している。

 川口:僕もそうしてきたし、そうされてきた。そのサイクルは必要なもの。まだ完全に世代交代というところまでは、いってないと思う。リオ世代が中心になって活躍して、初めて世代交代。浅野と井手口の躍動がきっかけになる。ああいうシビアなゲームでそういうプレーができる選手が出てきたのは日本のサッカーの成長じゃないかな。

 そんななかで気になっているのは、不要論もささやかれている本田やMF香川真司(28=ドルトムント)の存在。オーストラリア戦を見て、ある変化を感じた。

 川口:そういう論調(不要論)にもっていくのはよくない。彼らがテレビで映っているのを見たけど、態度も立派。ベンチでも必死に戦っている。いろいろ言われているかもしれないけど、まだ引き下がる時ではない。チームは(ベテランの)経験と(若手の)勢いが調和されながら強くなっていくものだから。

 GK目線でのチームづくりにも言及する。守護神争いも川口は若手推し。今年6月にA代表に初選出されたGK中村航輔(22=柏)に大きな期待を寄せている。

 川口:いろんなところで言っているけど、航輔には頑張ってほしい。Jリーグである程度できるのは示しているから、国際試合でもやれることを早く証明してもらいたい。まだ(正GKは)わからないと思う。今後の争いが楽しみ。

 代表の正GK争いはオーストラリア戦で先発した川島永嗣(34=メス)で絶対ではないとみる。今回代表に選出された中村、東口順昭(31=G大阪)だけでなく、西川周作(31=浦和)や林彰洋(30=FC東京)らも控える。とはいえ、川口も完全にあきらめているわけではない。

 川口:カズさん(三浦知良=50、J2横浜FC)がそうであるように、僕は代表を引退していない。一つのモチベーションとして常に代表を目指していますから。

 日本代表で歓喜も落胆も味わった「炎の守護神」はハリルジャパンの成功を心の底から願っている。