ロシアW杯アジア最終予選B組第9節が31日、埼玉スタジアムで行われ、日本はオーストラリアに2—0で勝ち、6大会連続のW杯出場を決めた。

 引き分け以下ではサウジアラビアとの最終戦(5日、ジッダ)に出場権獲得が持ち越しとなるため、必勝態勢で臨んだ日本代表。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は、W杯予選で5分け2敗と未勝利の相手に対し、これまで日本代表の攻撃の中心を担ってきたFW本田圭佑(31=パチューカ)やMF香川真司(28=ドルトムント)、FW岡崎慎司(31=レスター)をベンチに置き、FW大迫勇也(27=ケルン)、FW乾貴士(29=エイバル)、FW浅野拓磨(22=シュツットガルト)の3トップに運命を託した。

 因縁の相手をホームに迎えた日本は、立ち上がりから積極的に仕掛けていった。乾のドリブルなどからCK、FKを得て、試合を支配。そんな中、日本サポーターが沸いたのは41分。左サイドからDF長友佑都(30=インテル)がクロスを入れると、浅野が一瞬のスピードで相手守備ラインの裏に抜け出し、ダイレクトで左足を合わせてゴールネットを揺らした。お決まりの“ジャガーポーズ”でサポーターの声援に応えた。

 後半に入っても日本の運動量は落ちず、3トップが前線から早めのチェックを見せ、オーストラリアに自由な組み立てを許さない。オーストラリアは16分にFWユリッチ、さらに25分に日本の天敵・FWケーヒルを投入して攻勢を強めたが、日本はDF酒井宏樹(27=マルセイユ)の体を張った守備でゴールを割らせなかった。

 32分には途中出場のFW原口元気(26=ヘルタ)が左サイドを突破し、中央にグラウンダーのクロス。これをMF井手口陽介(21=G大阪)が右足で狙ったが、ゴールライン際でDFにクリアされた。だがこれが“井手口劇場”の序章。37分に左サイドからカットインして豪快に右足を振り抜くと、ボールはゴールネットに突き刺さり、勝利を決定づける一撃となった。

 昨年9月の最終予選初戦はホームでUAEに1—2でまさかの逆転負けを喫した。アジアにおける最終予選では、初戦を落としてW杯出場を決めたチームは皆無。「可能性0%」からのスタートだった。その後も苦戦の連続だったが、逆境を見事にはね返した。新たな歴史の1ページを開いたハリルジャパンには大きな夢が広がった。