ハリル決断 W杯予選後に日本代表“解体” 本田世代からプラチナ世代以下へ

2017年08月31日 16時30分

予選終了後、日本代表は世代交代へとかじを切る

 日本代表が世界に対抗するため“チーム解体”を断行する。ロシアW杯アジア最終予選は佳境を迎えているが、日本は今予選終了後に一気に世代交代を図る方針を固めた。チームの主力は、長らく中心を担ってきたFW本田圭佑(31=パチューカ)ら「北京五輪組」から、20代前半の「プラチナ&リオ世代」へ。過去の成功例をもとに、大胆な若返り策で新たなチームづくりをスタートさせる。

 最終予選で有利に戦いを進める日本だが、アジアの格下相手に苦戦の連続だった。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)の就任後は代表のサッカーに進化が見られず、重用する選手も2008年北京五輪で台頭した本田やFW岡崎慎司(31=レスター)、DF長友佑都(30=インテル)、MF香川真司(28=ドルトムント)らベテランに固執。チーム内には閉塞感が漂っている。

 そんな停滞を打破すべく、予選終了後には大幅な“血の入れ替え”を計画。日本サッカー協会幹部は「最終予選が終わった後は選考方針も変わってくる。かなり若い選手を使っていくこともある。今リストに挙がっている選手以外で、急成長している選手とかもいる」と話す。世界の強豪と渡り合うために、伸びしろが大きく化ける可能性がある若い世代を積極的に招集、起用していこうというわけだ。

 本来ならば北京組の1つ下の世代にあたる12年ロンドン五輪の世代が中心になるところだが、チームの中核を成すまでには至っていない。そこで、さらに下の世代がフォーカスされた。

 すでにその布石は打たれている。今回のメンバーには「プラチナ世代」と呼ばれる1992年生まれの選手が5人も入った。これは誕生年別で最多タイ。その中でMF柴崎岳(25=ヘタフェ)やFW杉本健勇(24=C大阪)に大きな期待がかかる。

 代表のレギュラーに定着しつつあるDF昌子源(24=鹿島)は「92年組がいて、いつもより多くなっている。僕らが日本の力になれるようにしたいと思っている」と勢力拡大を強く意識。同世代には今回選外の選手にも、30日にドイツ1部アウクスブルクから同2部デュッセルドルフへの移籍が決まったFW宇佐美貴史(25)や候補リスト入りしているFW江坂任(25=大宮)ら人材は豊富だ。

 さらに昌子は「その下の世代もいて、そういう年代でもっともっと盛り上げたい」。リオ五輪世代では、すでに代表で主力のFW久保裕也(23=ヘント)のほか、欧州で実績を積んだFW南野拓実(22=ザルツブルク)や世界基準のパスセンスを持つMF鎌田大地(21=Eフランクフルト)、MF関根貴大(22=インゴルシュタット)らが今後のターゲットになる。また、東京五輪世代で5月のU-20W杯(韓国)で活躍したMF堂安律(19=フローニンゲン)も急成長ぶりが注目されている。

 こうした大胆な若返り策を仕掛けるのも勝算があってのこと。10年南アフリカW杯で当時の岡田武史監督は大会直前に本田や長友、MF長谷部誠(33=Eフランクフルト)、GK川島永嗣(34=メス)ら若手を大量にスタメンに抜てき。批判や不安が飛び交う事態になったが、チームは16強入りを果たして正当性を証明した。

 この成功例は日本サッカー界にとって大きな財産。協会内でも若手への移行のハードルは低く、大胆な変革を後押しする材料になっている。本田や香川のいない「新生日本代表」が躍動する日はすぐそこまできている。

【主将・長谷部も“世代交代”推進派】

 主将のMF長谷部も積極的な世代交代を推進している。

 フィールドプレーヤーでは最年長となる長谷部は2010年南アフリカW杯から主将に就任。だが、前回14年ブラジルW杯後にその座を禅譲する意思を示したように、若手にピッチ内外で中心的な役割を担うよう求めている。

 オーストラリアとの決戦を前にした30日の練習後にも「自分が持つさまざまな経験を若い選手に注入できたら。ピッチの外でできることもたくさんある」と若手の力を伸ばそうという強い決意を口にする。

 これだけ若手を気にかけるのは、自身も偉大な先人たちに育ててもらったとの思いがあるから。

「DF中沢(佑二=39、横浜M)さん、ナラさん(GK楢崎正剛=41、名古屋)、シュンさん(MF中村俊輔=39、磐田)、(GK川口)能活(42=相模原)さん。ああいう方々がいた時は自分は思いきりやるだけだった」

 日本代表で数々の実績を残してきたレジェンドたちの思いを受け継ぎ、チームを支えてきた自負がある。だからこそ、今度は自らが伸び盛りの若手に“日の丸魂”を託し、ブレークのきっかけをつくろうとしているわけだ。代表の聖域なき構造改革の準備は整っている。